本日発表された特別企画冊子「Nature Index 2017 Innovation」は、研究論文が第三者の特許にどのように引用されているかを分析することで、学術研究がイノベーションに及ぼす影響について新たな洞察を提供しています。
「Nature Index 2017 Innovation」は、研究を行った学術機関自体が保有する特許ではなく、第三者が保有する(学術文献を参考にしている、あるいは引用している)特許を調べることにより、製品・サービスの開発に及ぼす研究の影響を明らかにしています。
「Nature Index 2017 Innovation」には、将来の発明へとつながる可能性のあるアイデアを提起している、主要学術機関の一覧表が掲載されています。表の上段には、高品質な研究を行っていることで国際的な評価を得ている機関や、出版された研究のインパクトが規模に比べて著しく大きな機関が並んでいます。
The Lensの指標による上位50機関のうち、38機関が米国の学術機関です。米国以外で、それぞれの国のトップにランクされている学術機関は、ストラスブール大学(16位、フランス)、ジュネーブ大学(21位、スイス)、漢陽大學校(23位、韓国)、ダンディー大学(26位、英国)、カロリンスカ研究所(38位、スウェーデン)です。日本からは、大阪大学(31位)と理化学研究所(39位)が上位50位までにランクインしています。
The Lensの創設者、Richard Jeffersonは、次のようにコメントしています。「出版された研究と特許の結び付きを世界的な公共財とすることにより、イノベーション・エコシステムにおける学術的な科学の役割のマッピングを始めることができます。これは「innovation cartography(イノベーションの地図作製)」に向けた第一歩であり、複雑な科学技術に基づく問題解決手法(STEPS)を表現できるようになります。これによって科学者、出資者、企業や政策決定者は、パートナーを選択したり、新製品やサービスの実践を社会に提供したりするに当たり、根拠に基づいたより良い意思決定を可能とします。」
The Lensがランク付けした200機関についてのNature Indexのデータも示されています。また、今回初めて、クラリベイト・アナリティクスのWeb of Scienceに収録されている研究論文数によって示される、自然科学分野の学術機関の研究成果合計数に基づいて、Nature Indexデータの正規化を行いました。こうすることにより、Nature Indexにおける各学術機関の研究成果を、各機関の研究規模と相対的に比較できる指標が得られ、同様に研究機関の規模を正規化するThe Lensの指標と比較することが可能となります。