スイス、ジュネーブ発[2016年10月10日]-デンマークのコペンハーゲンにおける10月7~11日の欧州臨床腫瘍学会(European Society for Medical Oncology;ESMO)年次大会で発表された大規模観察研究(1) により、70歳以上の患者と70歳未満の患者では乳癌特異的死亡率に違いがあり、高齢になるほど乳癌死亡率が高いことが示されました。
国際老年腫瘍学会(International Society of Geriatric Oncology)会長のEtienne Brain教授は次のように述べています。「今日我々の世界では、研究者たちが乳癌治療の改良と合理化を目指して日夜働いており、その中には、予後判定と治療効果予測を向上させるためのゲノム検査などのツールの利用も含まれています。人口の高齢化と寿命の延長に伴い、癌と診断される高齢患者が増えつつある一方で、若年患者に比べるとその治療と転帰が不公平なものになっていることが懸念されます。この歴史的意義のある研究は、脆弱な高齢患者のための、より個別化した治療戦略につながるツールの利用も含めて、高齢患者の治療に取り組んで向上させることの重要性を指摘した、洞察に満ちたデータを提供してくれています。」
昨年、高齢の非転移性乳癌患者の治療を大規模(3)に国際比較した欧州癌治療登録(European Registration of Cancer Care;EURECCA)試験が、欧州諸国間で手術、ホルモン療法および化学療法の利用に大きな格差があることを示しました。この試験の著者らによると、これは高齢乳癌患者の治療に関するエビデンスが欠如していることが原因だそうです。