マンチェスター大学のヤスミナ・セハジック-カペタノビック博士(Dr. Jasmina Cehajic-Kapetanovic)、ロバート・ルーカス教授(Professor Robert Lucas)およびポール・ビショップ教授(Professor Paul Bishop)らは、オプトジェネティクス(光遺伝学)に基づく遺伝子変異非依存性の治療技術の研究を手がけました。網膜のオン型双極細胞*3にヒトロドプシン(桿体細胞の視物質で光を受容するタンパク質)を形質導入するためにウイルスベクター*4を利用するこの技術は、細胞特異的なプロモータ*5の制御下において、視覚反応の回復に有効であることが網膜変性をもつマウスモデルで実証されています。さらに、ヒトロドプシンを用いることにより、他のタンパク質を用いる場合と比較して、光に対してより高い感度を獲得できることが期待されるとともに、ヒト型タンパク質であるため、免疫により誘発され得る炎症反応が起きる可能性を最小限に抑えることができると考えられます。このオプトジェネティクス技術に基づく研究は様々な遺伝子変異から起きる網膜色素変性症やそれに関連する症状に対して行われる予定で、網膜色素変性症全般に対する遺伝子変異非依存性の治療法として有用となる可能性があります。
マンチェスター大学眼科教授で英国Royal College of Ophthalmologistsのフェローであるポール・ビショップ博士(Dr. Paul Bishop)は、「網膜色素変性症のマウスモデルにおいて劇的な視機能回復が見られました。これにより、重度の遺伝性網膜変性患者様が視機能回復を目指せるよう、アキュセラ社との研究開発を行えることを喜ばしく思っています。」と述べています。
この度の契約は、マンチェスター大学の技術移転機関であるUMIP(University of Manchester Intellectual Property)との間で交渉が行われました。UMIPの事業本部長であるリッチ・フェリー博士(Dr. Rich Ferrie)は、「ルーカス、ビショップ両教授の独創的な科学技術に基づく網膜色素変性症に対する遺伝子治療を開発するための、理想的なパートナーであるアキュセラ社とライセンスを締結できたことを喜んでいます。この独占契約締結は、網膜色素変性症患者様には真の希望となりうる重要な始まりを意味するものです。」と述べています。
The University of Manchester Intellectual Property (UMIP)について
UMIP(University of Manchester Intellectual Property)は英国マンチェスター大学の技術移転機関であり、UMI3社(The University of Manchester I3 Ltd)の1部門です。UMI3社は、知的財産商業化において25年の歴史を持つマンチェスター大学の完全子会社です。