日本の女性管理職比率が世界と比べて低いことはよく知られており、2015年度のGender Gap Report (i)では9%であった。本調査は対象を「中堅企業の経営幹部」に絞っているが、結果はほとんど変わらない。一方、本調査では同じアジアの国でもフィリピン、インドネシア、タイそして中国は30%を超えていた。アジアでトップとなったフィリピンは、Gender Gap Reportでも好成績であり、女性管理職比率は57%、総合ランキングは145カ国中7位と男女格差の小さい国として、アジアの中で際立った存在となっている。
先に述べたGender Gap Reportの総合評価は、スウェーデン4位、英国18位、ドイツ11位、米国28位と、性別役割意識が低い国はジェンダー・ギャップが小さいことが窺える。しかし、フィリピンはこれと異なる。上記の表で、性別役割意識が色濃く残っていることが示されているのに、ジェンダー・ギャップは小さい。一つの理由は、性別役割意識が強いが故に、国がジェンダーの問題に早くから取り組んできたことによるだろう。「女性のマグナ・カルタ」などの法整備だけではなく、それに実効性を持たせるために専門機関が整備されている (iv)。