河野強教授と本田修二研究員ならびにGuy M Benian教授らの研究グループは、モデル生物である線虫C. elegansを用いてインスリン族ペプチドの分泌極性(*用語参照)が変動することを世界で初めて発見しました。さらに、この分泌極性が生育状況に呼応して可逆的に変動することを見いだしました。加えて、これらのペプチドは休眠時に徐々に分解されることも明らかにしました。休眠・寿命を制御するインスリン族ペプチドを緑色蛍光タンパクあるいは赤色蛍光タンパクに融合し、線虫体内で作らせました。蛍光観察を行ったところ、これらの蛍光タンパクは通常の生育では体腔中に分泌されました。一方、休眠時には分泌方向を変えて腸管内に蓄積しました。蓄積した蛍光タンパクは徐々に分解されました。再び通常の生育に戻ると、蛍光タンパクは体腔中に分泌されました。これらの結果から、休眠・寿命制御ペプチドは体腔側あるいは腸管側に分泌極性を可逆的に変動すること、腸管内で分解されることが明らかになりました。