今後も増えるフリーランス!
ランサーズの平成28年フリーランス実態調査によれば、フリーランスは日本国内に約1064万人(平成27年は約913万人、前年比17%アップ)、フリーランスは労働力人口の16%を占めるとのことです。
平成28年9月から始まった政府の10回にわたる働き方改革実現会議では実行計画の中に、「柔軟な働き方をしやすい環境整備」の項目に
「副業や兼業を認める」
「非雇用型テレワークのガイドライン策定」
が入っています。
国をあげて「フリーランス契約を保護」するための事業者向けガイドラインが改訂される予定です。
専業にせよ、兼業にせよ今後もフリーランスは増えていくでしょう。
フリーランスで心配なこと。
フリーランスになったら心配なことは収入でしょう。
会社員なら賞与が減ったり、降格したりする心配はありますが、我慢して会社にいる限り、お給料は支給されることでしょう。
100%自分持ち
一方フリーランスは100%自分で稼がなければなりません。
会社で使っていた文房具、PC、プリンター等も自分の物を使わなければなりません。もちろんインク代等も自分持ちです。
ソフトの使い方で戸惑った時なども、会社ならその分野が得意な同僚や先輩に聞くことができましたが、フリーランスは時には有料でサポートを受けることもありそうです。
「仕事上のケガ、病気などで働けなくなったらどうなるのか?」
会社員なら健康保険や厚生年金に入っていて、会社でも保険料を1部負担してくれていますが、フリーランスは全額自己負担です。
社会保険にせよ、民間の生損保にせよ、より万が一のことを考えて加入する必要があります。
収入面の心配を和らげる方法は?
1. 再就職手当など公的給付は充分活用しよう!
再就職手当とは、1年以上雇用保険に入っていた人が失業等給付の給付日数分を1/3以上残して再就職をした場合に支給される手当です。
起業することにより自立することができると認められる場合や雇用保険に入れて人を雇う場合は、フリーランスという形でも再就職手当を受けることができます。
2. 仕事に役立てる勉強は、教育訓練給付を活用しよう!
フリーランスを目指しても、どこかに勤めるとしても仕事に役だつ勉強をするときには、「教育訓練給付金」を活用しましょう。
退職前に合計で3年以上雇用保険に加入していた期間が必要です。
退職前に10年以上雇用保険に加入しているとより専門的な講座受講の助成(専門実践教育訓練給付)を受けられますし、失業手当が終了後に要件を満たせば教育訓練支援給付金を受けることも可能です。
教育訓練支援給付金は、専門実践教育訓練給付の申請とは別に退職後1か月以内に申請する必要があります。
3. 雇用保険・健康保険など公的給付を受けるための注意点!
フリーランスで起業でも自立を認められれば再就職手当を受けることはできます。
ただし、会社を退職する前から準備していてフリーランスになったということなら「失業状態」ではないので再就職手当や教育訓練支援給付金は支給されません。
住所地管轄のハローワークに行って、きちんと求職活動をした上で最終的にはフリーランスという形で起業した場合に再就職手当が支給されるということです。
もし、病気やケガで会社を続けられなくなった形ならすぐに働ける状態ではないので、住所地のハローワークに「受給期間延長の手続き」を取りましょう。
通常だと退職後1年以内に受けなければもらえない失業等手当のもらえる期間を延長してくれるのです。
社会保険、生命保険、損害保険等、万が一に備えよう!
会社を辞める前に病院に行っておいた方がいい
と聞いたことはありませんか?
1. 健康保険か国民健康保険か?
それは会社員なら原則は健康保険、自営業者等になると原則国民健康保険になるからです。退職するときに、任意で健康保険を選ぶこともできます。
ただし、今まで事業主負担だった分も自分で払うので約2倍の健康保険料になります。
国民健康保険料は退職前にお住まいの市区町村役場に試算してもらうこともできますので、健康保険続けた場合とどちらが有利か比較しておきましょう。
2. 国民年金保険料、支払が大変なら申請免除・保険料納付猶予の手続きを!
平成29年度国民年金保険料は1万6470円。20歳以上60歳未満の自営業者や学生、失業者、退職者などが支払う月額です。
「そんなに払えない」と思ったら国民年金の保険料免除・納付猶予制度(日本年金機構HP参照)があります。
所得基準を満たせば「保険料をまけてくれる」のが申請免除、「保険料を払わなくてもいい」のが、保険料納付猶予です。
申請者本人の他、配偶者、世帯主の所得によって、保険料の全額、3/4、半額、1/4を免除、または保険料納付猶予してくれます。
保険料の申請免除は60歳まで、納付猶予は50歳まで対象となりますので、是非市区町村役場で相談・手続きをお勧めいたします。
将来、申請免除されていた期間の老齢年金は減額されますが、「保険料を払っていた期間」としてカウントされます。
保険料納付猶予も保険料を払わないのに「年金をもらうのに必要な期間」に入れてくれるので、障害年金の状態になっても、死亡で遺族年金を請求することになっても「保険料を払っていた期間」と同じ扱いになります。
単なる「保険料未納期間」と「保険料納付猶予期間」は扱いが大きく異なるのです。
3. 民間の就業不能保険(所得補償保険)も一考か?
国民健康保険になると健康保険にはある傷病手当金(最長で1年半)がありません。
その分「万一働けなくなった場合の備え」について、特に家族を養っている方、住宅ローンがある方などは、民間の生命保険・損害保険会社の就業不能保険(所得補償保険)なども考えた方が良いでしょう。
厚生労働省によると、統合失調症やうつ病などの精神疾患と診断された患者数は平成26年に約392万人とのことです。
メンタル疾患は保障されない保険が多いのですが、メンタル疾患を保障する特約を付けられる就業不能保険(所得補償保険)もいくつかあります。メンタルや体力に自信が今一つの方は、検討してみましょう。
ちなみに生命保険会社の医療保険は給付金の支払いに入院が条件とされているものが多いので、生命保険会社の就業不能保険または損害保険会社の所得補償保険の方に優先して加入した方がより広く保障されると言えます。
生命保険会社の就業不能保険または損害保険会社の所得補償保険は「契約者が生存していて」、「医師が働けなくなったと認めたとき」に給付金が支払われ点が同じです。
「働けなくなった時」が「どんな仕事もできない」状態か「保険証券にある仕事につけない」状態か保険商品によって異なるので契約前に確認しておいた方がいいでしょう。
ちなみに就業不能保険も所得補償保険も「契約者の生存」していて働けない時の保険なので、「契約者が死亡」したときには、1円も支給されません。
そして退職直後、厚生年金から国民年金に変わってまもなく「死亡」したときの国民年金の給付金は手薄です。
団体信用生命保険で住宅ローンは無くなることが多いのですが、賃貸でご家族を扶養されているときは、掛け捨てですが保険料の安い定期保険、または保険料は高いですが貯蓄性の高い終身保険に入り、万が一の「死亡」にも備えていた方がいいでしょう。
やはり最初は個人事業で? それとも法人?
フリーランスになってからは、こと社会保険に関しては、個人事業の方がいろいろ便利なようです。
法人(株式会社・NPO法人等)になると事業が軌道に乗って、代表に報酬が支払われるようになったときには、健康保険や厚生年金に法人として加入しなければなりません。
会社員時代と違い、健康保険(協会けんぽ)や厚生年金は事業主負担分と被保険者負担分を2倍負担しなければなりません。
しかも健康保険だと「仕事上のケガ、病気」については、原則使えません。
国の労災に事業主として特別加入するか、損保会社で仕事上のケガや病気に備える保険に入ることを検討する必要があるでしょう。
個人事業なら、国民健康保険を使うことになるでしょう。国民健康保険は、病気やケガなら仕事上でも私生活上でも使えます。
健康保険のように傷病手当金がないのがデメリットですが、手軽ではあります。
銀行などから借入金を借りるとき、信用面、業務によって消費税の計算方法が異なる、など総合的に見ると、法人と個人とどちらがいいか、税理士やFP、社労士などに相談することも検討してみましょう。(執筆者:拝野 洋子)
情報提供元: マネーの達人