障害のある方が安心した生活を送るための一助となる相互扶助の制度があるのをご存知でしょうか?



障害のある方を扶養している保護者が、障害のある方の将来に対し、保護者がいだく不安の軽減を図るための任意加入の「障害者扶養共済制度」というものがあります



「障害者扶養共済制度」は、昭和45年に創設され現在約45年を超えていますが、約21万人の保護者の方々が加入され、約5万5千人の障害のある方々に約2,620億円の年金の支払い実績があり、障害のある方々の大きな生活の支えになっています



今回は、この「障害者扶養共済制度」について解説したいと思います。









「障害者扶養共済制度」とは


障害のある方を扶養している保護者が、毎月一定の掛金を納めることにより、保護者自身に万が一(死亡や重度障害になった場合など)のことがあったとき、障害のある方に一定額の年金を支給する制度です。





加入できる保護者の要件は?


障害のある方(※1)を現に扶養している保護者(父母、配偶者、兄弟姉妹、祖父母、その他の親族など)であって、次のすべての要件を満たしている保護者の方となります。



なお、障害のある方1名に対して、加入できる保護者は1名となります



(1) 障害者扶養共済制度を条例化しそれに基づき実施している都道府県・指定都市内に住所があること。



(2) 年齢が満65歳未満であること。(年齢は、加入時(口数追加の場合は口数追加時)の年度(4月1日から翌年3月31日まで)の4月1日時点となります。)



(3) 特別の疾病又は障害がなく、生命保険契約の対象となる健康状態であること。(現在の健康状態等によっては、「障害者扶養共済制度」にご加入いただけない場合があります。 )



※1「障害のある方」の範囲とは




将来独立自活することが困難であると認められる障害のある方で、次のいずれかに該当する方となります。(障害のある方の年齢は問われません。)



(1) 知的障害の方



(2) 障害が1級から3級までに該当する障害の方 (身体障害者手帳を所持していること)



(3) 精神または身体に永続的な障害のある方(統合失調症、脳性麻痺、進行性筋萎縮症、自閉症、血友病など)で、その障害の程度が上記(1)または(2)の方と同程度と認められる方





掛金はどのくらいなのか?


「障害者扶養共済制度」の掛金の額は、加入時の保護者(加入者)の年齢に応じて決定されます。(加入口数の限度は、障害のある方1名につき2口までです。 )







・ 加入時とは、加入承認日となります。(加入申込から加入承認まで1~2か月程度要します。)



・ 平成29年4月1日現在の掛金金額となります。(制度の見直しにより、掛金が改訂されることがあります。 )



・ 自治体の減免制度により、上記の掛金と実際のご負担額が異なる場合があります。



一定条件に該当することになれば、掛金の免除となります



次の「要件1」、「要件2」の両方に該当した場合は、掛金が免除となります。(それ以降の期間は、掛金の払込みは不要となります。)



要件1 : 加入日(口数追加分については口数追加日)から20年



要件2 : 満65歳である年度(4月1日から翌年3月31日まで)の加入応当月(加入月と同じ月)までの期間



少し分かりにくいかもしませんが、「加入日から20年」かつ「満65歳になる年度の加入した月まで」の期間は掛金の払込が必要となります









年金額と弔慰金


「障害者扶養共済制度」の年金は、



・保護者(加入者)が障害のある方の生存中にお亡くなりになられたとき



・または加入日(口数追加分については口数追加日)以後の疾病または災害を原因として、重度障害状態に該当していると認められたときは、その月の分から障害のある方の生涯にわたり年金が支給されることとなります。(一定の要件に該当する場合は、年金を支給されない場合があります。)



1口加入の方… 月額 2万円(年額24万円)



2口加入の方… 月額 4万円(年額48万円)



また、保護者(加入者)の生存中に、障害のある方がお亡くなりになったときは、「弔慰金」が支給されます。







・ 平成29年4月1日現在の弔慰金金額となります。(制度の見直しにより、弔慰金金額が改訂されることがあります。 )



・ 既に払い込んだ掛金は返還されません。





加入後は制度から脱退できるのか?


「障害者扶養共済制度」に5年以上加入した場合に、保護者(加入者)からの申し出により制度から脱退でき「脱退一時金」が支給されます







・ 平成29年4月1日現在の脱退一時金金額となります。(制度の見直しにより、脱退一時金金額が改訂されることがあります。 )



・ 既に払い込んだ掛金は返還されません。



口数毎に脱退することができますが、脱退した分の年金は支給されません





加入方法は?


保護者(加入者)がお住まいの地域にある、福祉事務所や市区町村役場等の窓口で申し込むことができます。(加入等申込書等の必要書類につきましては、福祉事務所や市区町村役場等の窓口にご依頼ください。)



また、既に加入している方が他の都道府県・指定都市へ転居する場合でも、継続して転居先の都道府県・指定都市で加入することができます



まずは、お住いの地方公共団体(都道府県・指定都市)へお問い合わせいただくとよいでしょう。(執筆者:高橋 豊)



情報提供元: マネーの達人
記事名:「 障害のある方々の大きな生活の支えとなる「障害者扶養共済制度」を解説します