森金融庁長官の発言を追いかければ、資産運用の未来が見える。
4月8日、森金融庁長官が「日本の資産運用業界への期待」 として基調講演を行いました。
金融庁のホームページから講演内容が公開されていたのですが、投資顧問業や証券会社向けの話も多いです。
そのため、本文から気になった部分を抜粋、及び要約や解説を加えながらまとめてみました。
投資信託を購入、保有されている読者様も多いと思いますが、講演内容は金融業界の裏側や実態がよくわかる貴重な資料でもあります。
2018年度からスタートする積立型NISAについて
積立型NISAを新規に作った理由を語った後、積立型NISAの対象として残った公募株式投信は5,406本中、50本弱しか残らなかったと指摘。
対象とは、一定基準を満たす投資信託のことだと思われます。その原因として、証券会社の手数料ビジネスに関する話へと続きます。
この辺りは昨年以前から発言している内容と一致ですね。
印象に残った発言が
「個人が買う株式投信の売れ行きを過去に遡ってみても、株価のピークで株式投信が最も売れる傾向にあります。」
という一文です。
顧客が儲かる商品ではなく、売れる商品を売れる時期に売るという姿勢を批判しているようにも感じました。
普通、ドルコスト平均法では、安い時に株や投資信託を購入したほうがリターンは上がります。
それと逆のことをしていると言いたいのでしょう。
積立型NISAとは
通常のNISAとは違い、非課税枠の上限が40万円となるが、非課税期間が20年となる新たなNISA口座のこと。
NISA口座をすでに持っている人は積立型NISAを選べませんが、年間投資枠が少なくなる代わりに非課税期間が4倍になります。
また、総投資総額も800万円となり、従来の600万円よりも多いなどの特徴があります。
ドルコスト平均法とは
定額購入法とも言います。
資金を分割して均等額ずつ定期的に購入することで、株価の低いタイミングで多く購入できます。
その後の好景気や株価上昇時で利益に転換されるため、投資初心者向きの購入法です。
日本の金融資産が増えない理由について
家計金融資産に対するリスク性資産(株式や投資信託)の割合や他国との資産増加率の違いも指摘しています。
米国や英国と比べて日本の金融資産が増えない理由に、手数料の取りすぎがあるという厳しい内容でした。
具体的に一部を抜粋すると、
「投資商品を買っても思うようなリターンをあげられなかった顧客は、投資額を増やすものでしょうか?
そうした商品を勧めた金融機関との取引をずっと続けるでしょうか? 」
と書かれており、金融関係者であれば、胃がズキズキするような発言だったと思います。
講演内容の全文は金融庁のHP(pdf)で閲覧およびダウンロードできます。是非、一読してみましょう。(執筆者:坂本 彰)
情報提供元: マネーの達人