新年度が始まって半月、職場では人事異動で不慣れな仕事に就いた方もいらっしゃるでしょう。学校でもクラス替えで新しい担任やクラスメートに慣れるのに、慌ただしい日々を送ってらっしゃる方も多いでしょう。
平成29年4月から、都市ガス自由化や年金引き下げを始め、日常生活でも変わることや始まることがいくつかあります。それぞれの分野ごとに変わる出来事を挙げてみましょう。
1. 家計
2. 高齢者の社会保険・医療
3. お勤めの方関連
4. 民間生損保
5. 保育
6. 手当
7. 教育
8. 住宅
1. 家計
(1) 都市ガス小売り自由化
4月より都市ガスの小売りが自由化されました。東京電力や関西電力、LPガス会社などが、都市ガス小売りに参入しました。参入した会社は平成29年3月31日時点で45登録事業者と昨年の電力小売り自由化より少な目です。
参照 資源エネルギー庁HP
切り替えの際の注意点
消費者庁によれば、他のガス小売り事業者に切り替えても、ガスコンロを交換する必要はないとのことです。
ガス切り替えを理由に「ガスコンロ交換」を求めてくる会社には注意しましょう。
またアンケートへの協力を求められた際には安易に個人情報を伝えず、目的や事業者名や連絡先を必ず確認した方がいいとのことです。
2. 高齢者の社会保険・医療
(1) 4月からの年金額引き下げ
国民年金40年(20歳から60歳)まで毎月保険料を納めた場合、年間77万9,300円に引き下げされました。28年度は年78万100円なので800円減となります。
4月分からの年金額の引き下げになるので、4月分、5月分が支給される6月に年金額が下がります。
厚生年金で夫が年収約513万で40年間働き、妻が専業主婦だった世帯(モデルケースとされている)の夫婦の年金額は265万5,324円(2,724円減)に下がりました。
(2) 国民年金保険料が値上げ
20歳以上60歳未満の自営業者や失業者、学生等が支払う国民年金保険料が今年も上がり、平成29年4月より月額1万6,490円(平成28年度は1万6,250円)になりました。
また平成29年4月より2年前納(37万8,320円)が口座振替(月額払いより1万5,640円割引)の他、現金払いやクレジットカード払い(月額払いより1万4,400円割引)でも支払えることになりました。
口座振替の平成29年度分2年前納、1年前納、6か月前納(4月~9月分)の申込みは締切られてしまったそうで、口座振替での平成29年度分6か月前納(10月~翌年3月分)の締め切り日は8月31日末だそうです。
参考 日本年金機構HP
ちなみに会社員・公務員は9月のお給料分から厚生年金保険料が上がるので、退職予定でもない限り、4月の国民年金保険料値上げには影響ありません。
(3) 75歳以上の医療(後期高齢者医療制度)保険料引き上げ
後期高齢者医療制度(75歳以上の医療制度)の保険料を最大9割軽減している特例措置が廃止され、本来の7割に戻されることになりました。
夫婦世帯で妻の年金収入が年79万円以下の場合
特例措置がなくなると、夫の年金収入が168万円以下の高齢者(75歳以上)の医療保険料は現在の月額570円から月額1,130円に値上げされます。
夫婦の年金収入合計が年211万円の場合
月額4,090円から月額6,290円に値上げされます。
3. お勤めの方関連
(1) 社会保険加入対象者拡大
平成29年4月より、被保険者500人以下の会社勤務でも会社と社員の間で合意があれば、パート(週20時間以上勤務、月収8万8,000円以上)本人が健康保険や厚生年金に入れるようになりました。
国や地方公共団体で働くパート・アルバイトは週20時間以上勤務、月収8万8000円以上を満たせば社会保険に加入になります。
(2) 雇用保険料引き下げ
雇用保険料率の自己負担分がお給料の0.3%(平成28年度は0.4%)に引き下げられます。
年収が500万円だと年1万5,000円(平成28年度は年2万円)、お給料から差し引かれます。厚生年金や健康保険と比べると安いですね。
(3) 在職老齢年金の基準額が46万円に
定年延長や再雇用が増える中、総務省の労働力調査によれば、65歳から69歳の約半数が働いているとのことです。
65歳以降に働く場合(厚生年金に加入)年金月額(給与に応じた部分のみ)と月収(賞与含む年収を12で割る)を合計して46万円(平成28年度は47万円)超えると、年金(給与に応じた部分)が収入に応じて止まります。
ただし、65歳以降は国民年金の部分は全額支給されます。去年よりもらえる年金が減額される方もいらっしゃるでしょう。
4. 民間生損保
(1) 生命保険の保険料値上げする生命保険会社が相次ぐ
生命保険料には、保険金を払うために必要な資金を確保するための責任準備金に充当する分も含まれています。
日銀のマイナス金利政策で市場での運用利回りが下がっているため、責任準備金の運用利率も下がります。
また充分な資金を準備できない可能性を考え、平成29年4月より個人年金や学資保険、終身保険など貯蓄性の保険料の値上げする生命保険会社(全社ではないが)が相次いでいます。
ただし、既に契約している保険料は変わりません。
(2) 自賠責保険料引き下げ
自家用車の自賠責保険料は平均6.9%下がります。
5. 保育
(1) 低所得者の保育園保育料軽減
4月より市区町村民税が非課税で2人以上子どもがいる世帯は、認可保育所などの保育料を2人目から無料になります。
市区町民税は非課税でなくても一定金額以下で保育園の保育料を2人目半額、3人目無償など軽減するところも多いです。
6. 手当
平成29年4月より物価スライド制が導入された影響で、各種手当が0.1%引き下げられました。
(1) 児童扶養手当0.1%引き下げ
一人親に支給される児童扶養手当も残念ながら0.1%引き下げられます。子供1人で月9,980円から4万2,290円、2人目には月5,000円から9,990円、3人目には月3,000円から月5,990円を加算。
実際に引き下げられるのは4、5、6、7月分が支給される8月からになります。
(2) 特別児童扶養手当0.1%引き下げ
障がいのある子供に支給される特別児童扶養手当も0.1%引き下げられ、1級は月額5万1450円(50円減)、2級は月額3万4270(30円減)になります。平成29年4月より物価スライド制が導入された影響です。
(3) 障碍児福祉手当0.1%引き下げ
本人の所得によって支給の有無が決まる障碍児福祉手当も0.1%引き下げです。月額1万4580円(20円減)になります。
7. 教育
(1) 愛知県にて全国初の公立学校専攻科が民営化
名古屋で平成28年4月に開校した工科高等学校にて平成29年4月から専攻科が民営化しました。専攻科の責任者や教員に優秀な民間人を登用。例えばトヨタ技術者が講義するとのこと。
(2) がん教育が始まる
平成28年12月に「がん対策基本法」が改正され、学校教育や社会教育で「がんに関する教育の推進のために必要な施策を講ずるものとする」(23条)とされました。
平成28年度で「がんの教育総合支援事業」のモデル校の意見などを踏まえ、平成29年度は改訂を加えるとのこと(文部科学省 がん教育推進のための教材)。文部科学省では今年度中にがん教育の全国展開を目指しています。
8. 住宅
(1) タワーマンションの固定資産税、低階層は減税、高階層は増税
平成29年4月から、タワーマンションの固定資産税を1階上がるごとに0.26%高くなるとのことです。例えば1階と40階なら同じマンションでも10%以上固定資産税が異なってきます。
日常生活に変化の多い年
平成29年は8月から受給資格期間が10年に短縮された年金が施行されたり、介護保険料率が上がったり、大手保険会社で一定歩数を歩けば還付金が支給されるタイプの医療保険が販売される予定です。
日常生活(特にお金?)に変化の多い年になるのでしょう。(執筆者:拝野 洋子)
情報提供元: マネーの達人