以前、「銀行にカモにされたくないなら、ファイナンシャルリテラシー(お金に関する知識)を高め「自己武装」せよ」というコラムを書かせていただき、各所からたくさんの反響をいただきました。
今回は関連して、「お金を借りる」時に際して気にしておくべきことを考えたいと思います。
お金を貸す仕事(銀行、貸金業)
ひと昔前、いわゆるノンバンク系の金融機関は大手の銀行などとは違う個別の与信審査(ほとんど審査などなかったのかもしれません)や高い金利で融資を行っていました。
今の貸金業者は貸金業法で「国(財務局)に登録され、かつ、日本貸金業協会に加盟している、法律を順守している金融機関」と位置付けられています。
こういう業者は文字通り「法外」な金利を請求することもありませんので、以前に比べれば安心して利用できるようになったといえるのかもしれません。
一方、今でも多くの貸金業者が公共交通機関の中やテレビ、ラジオの中で広告を出しており、目にする機会も多いと思います。
あまりこうした金融機関を使っているという人の話は聞かないのですが、それでもこれだけのCMが出ているということは利用者も少なくないのだと思います。
貸金業者の中には大手金融機関のグループ会社や流通会社、メーカーなどの関連会社で、そのことをPRしている会社も多く、こういう会社は「知名度」などからくる安心感もあり、敷居を下げているということもあるのでしょう。
計画的に利用することは否定しません
一般個人がお金を借りようとする場合、銀行、信販会社(クレジットカード会社)あるいは貸金業者などから、ということになります。
住宅ローンや、オートローン(自動車購入時のローン)などは身近なものですが、それでもお金を借りるということは金利がかかります。
住宅ローンに関しては特に金融機関などの場合、審査もある程度厳格に行われますし、用途がはっきりしていますので、金利も低めです。
オートローンも現在の金利は2%程度のようですので、そんなに高いわけではないと思います。
必要に応じて計画的に利用することは否定しません。
身近になった「お金を借りる」という行為
最近は「カードローン」が浸透し、比較的少額なお金を借りようと思えば手軽に借りられるようになっています。
銀行等では
「ローンカードを作りませんか?」
「用途不問のフリーローンを利用しませんか?」
と勧誘しているケースもあります。こういう融資の最低金利はやや高めです。
借りてから一定期間は無利息にしている貸金業者もあります。
一度使うと敷居が下がるのは人間心理。無利息でも一度利用すると手を出しやすくなるもののようです。
クレジッカードでも3回以上の分割なら金利がかかっています
クレジットカード会社では1回払いのほか、2回払いや分割払い、リボ払いなど支払回数が選べるようになっています。
1回払いや2回払いならば金利はかかりませんが、3回以上の分割ではやはりお金を借りるのと同じことですので金利がかかります。
(分割払いのほうが金利は低め、でも2.5%くらいから高いと15%近い。リボ払いは金利が年率15%くらいかかったりしてびっくりします)。
また、クレジットカードを使うといわゆる「キャッシング」という形でお金を貸してくれる方法もあります(キャッシングも金利15%くらいは珍しくありません)。
あまり意識しないところでは携帯電話の購入時。機種購入代金を分割して購入するケースが増えています。
金利は通信事業者が負担しているケースが多いのであまりお金を借りている感覚はないかもしれません。
このように最近はお金を借りるということが身近になったように感じます。
いざという時に借りられないかもしれない
しかし、住宅ローンの審査などではこれらの借り入れ状況も含めて審査の対象です。
借入金の返済額が年収に占める割合でその人の借り入れ余力は変わりますし、もし、返済が滞っていたりすると審査が通らないケースも出てきます。
特に携帯電話の代金を滞納した場合、本人は気が付かないうちに与信審査に影響が出るというケースも少なくありません。
必要な時にお金を借りることはあると思います。
しかしながら、安易な方法で高い金利の融資を受けたり、返済口座の残高不足でうっかり引き落とされなかったりした状態が続くと、いざというときに借り入れができなくなるということもあり得ます。
最近は貸金業法が厳格になり、個人が借入れられる金額の上限を定める規定ができています(総量規制)。
これも、気軽に審査の甘い消費者金融から借り入れ、返済が厳しくなり、返済のためにさらに借入れるという人が増えていたことから対策として講じられた規制です。
これは罠か!?
銀行あるいは銀行グループで安易な借り入れができる方法を促しておきながら、返済が滞った人には冷たく対応することになる金融機関の「罠」の様なサービスの提供の仕方には矛盾を感じます。
しかし、これも今や金利ではなかなか利益を上げられない金融機関の事業の一部。生き残っていくためには仕方がないことなのかもしれません。
金融リテラシーを高めて自己防衛しよう
銀行の融資は貸金業法ではなく、銀行法に基づいています。
カードの分割払いは割賦販売法の対象です。どちらも、貸金業法の総量規制の対象になっていません。
しかしながら、我々にとっては、一時的にお金を借り、金利負担が発生することは共通です。
我々一般の消費者がきちんと自分の資金管理を計画的に行うことで自己防衛するしかないと思います。
金融リテラシーの高い方々には「釈迦に説法」の話ですが、世の中には甘い誘いもたくさんあります。気を付けてくださいね。(執筆者:西山 広高)
情報提供元: マネーの達人