冠婚葬祭は昔からずっと存在し続けるものですが、そのあり方は、時代とともにゆっくりと変わっていっています。
今から60年ほども前ならば、現在のように、笑顔で、かつカラーで、洋装の写真が遺影として使われることなど想像もつかなかったのではないでしょうか。
また、お墓も、昔からの「○○家先祖代々之墓」というかたちではなく、それぞれのお気に入りの言葉を彫りつけたものなどが出回るようになっています。
そのなかで、「仏壇」も少しずつ変わっていっています。
コンパクトサイズに
昔ながらの仏壇は、かなり幅をとるものです。押し入れと同じくらいのスペースを仏壇が占めている、という家も多いのではないでしょうか。
もちろんこれは悪いことではありません。ただ、それほど広くない家や、共同住宅に住んでいる人にとって、この「大きすぎる仏壇」というのは、空間を圧迫することに繋がるもの。
そのため現在では、30センチにも満たないコンパクトサイズの仏壇も販売されるようになりました。これならば、チェストの上などにも置くことができますね。
このコンパクトサイズの仏壇は、種類によっても異なりますが、ご本尊やご位牌がきちんと備えることができ、小さなサイズの常花や仏具がそろえられたものも販売されています。
コンパクトではありますが、きちんとお祀りできるということで、選択肢の一つとして挙がってきています。
リビングに、和室に。仏壇を「デザイン」から考える
もう一つ知っておいてほしいのが、「おしゃれな仏壇」の存在です。古めかしい仏壇ではなく、モダンな模様の仏壇なども販売されているのです。
・ ウォールナットでつくりあげた丸みをおびた優しいデザイン
・ 閉じた時に格子柄が現れる
少し珍しいところでは…
・ 壁にかけることを前提としたスレンダーなもの
・ 赤色を基調としたカラー仏壇
などもあります。事前に聞いた故人の好みなどがあれば、それを仏壇のカラーなどに反映させるのもよいでしょう。
弔いのかたちに、正解はありません
これらのように、「今までとは違う仏壇」のあり方については、当然のことながら、拒否感を示す人もいるでしょう。
ただ、
「自分が祀られるのであれば、おしゃれな部屋に祀られたい」
という人もいるのではないでしょうか。
自分を供養してくれる人の部屋にぴったりとあった、インテリア性の高いデザインの仏壇は、コンパクト仏壇同様、今や選択肢の一つとなっています。
部屋のあり方も変わってきている現在、省スペースの仏壇を選んだり、部屋のインテリアと相性のよい仏壇を選んだりすることは、決しておかしなことではありません。(執筆者:鍋谷 萌子)
情報提供元: マネーの達人