都内や首都圏など利便性の良い物件に比べて敬遠されがちな地方の収益物件。
その一方で、賃貸経営が軌道に乗れば高利回りが期待できるという点は、地方物件の魅力です。その利回りに惹かれて、私は空き家同然の地方物件を再生してきました。
「地方の築古物件でも安定した賃貸経営ができる!」
そう確信したものの、ある問題だけはどうしても解決することができません。
「ある問題」とは
鉄道網が発達している東京やその近郊とは違い、地方では車が主な移動手段になります。車の利用を前提とした街づくりがされているため、多くの場合商業施設は郊外の幹線道路沿いに整備されます。
都会であればお店や娯楽施設が建ち並ぶ駅前が一等地とされますが、地方都市の駅前は必ずしもそうとは言えません。そのため、地方において車は1人1台というのが当たり前。
東京で暮らす人には想像も付かないのではないでしょうか。
「世帯数分の駐車スペースを完備していること」
私は、このことを地方物件の購入を検討する際の目安にしていましたが、それでは不十分だったのです。
私が所有する物件の間取りは2DK、約40㎡の専有面積があり、2人で暮らすにも十分な広さがあります。
ところが、駐車スペースは世帯数分のみ。2台分の駐車スペースが必要というお客様のニーズに応えられないことが分かりました。
2台分の駐車スペースを求める入居希望者がこれほどいるとは正直なところ意外でした。入居を見送るお客様に理由を尋ねてみると、駐車スペースを理由に諦めるというお客様がほとんどです。
家賃を下げたところで2台分の駐車スペースが欲しいお客様を取り込むことはできません。何か対策を考える必要があります。
駐車スペースの不足、その対策とは
近隣の月極駐車場の活用
「私の名義で近隣の月極駐車場を借りて、それを入居者に使ってもらうのはどうだろう?」
そう考えて、物件周辺の月極駐車場を探してみたところ、どの駐車場も満車とのこと。順番待ちをしてみるものの、いまだに連絡は来ません。
駅に近いということもあって、その一帯の月極駐車場に対する需要が非常に高いようです。また、駐車場の絶対数が少ないことも、駐車場に対する需要の高まりに拍車をかけているのかもしれませんね。
このような理由で、近隣の月極駐車場を活用することはひとまず断念しました。
敷地内駐車スペースのレイアウト変更
1台分の駐車スペースは、一般的に縦5~6メートル・横2.3~2.5メートルです。1台分のスペースを狭くすることで、1台でも多く駐車できないかと考えました。
管理会社に相談したところ、地方の人は狭いスペースへの駐車するのが大嫌いとのこと。お客様のストレスを増やしてでも駐車スペースを増やすか、非常に悩ましいところです。
しかし、新たに1台分の駐車スペースが確保できたとしても、問題の根本的な解決にはなりません。結局、この案も見送ることにしました。
空き地の購入または賃借
周辺に空き地はないか? ストリートビューを駆使して探していたところ、すぐ近くに「借地」の看板を発見しました。
そこに書かれている番号に連絡してみると、その土地は農地なので駐車場としては使えないとのこと。地目変更をすれば駐車場として利用することができますが、煩わしい手続きを踏まなければなりません。
その土地を借りることも断念せざるを得ません。
アパート裏の売地
次に目を付けたのがアパート裏の売地。借地がだめなら売地は無いかと探していたところ、偶然にもアパートのすぐ裏手の土地が売りに出ていたのです。
とはいえ、その土地はアパートが建つ敷地の面積を超えるもの。駐車スペースの不足を補うには十分すぎるため、できれば他の用途にも生かしたいものです。
そこで、月極駐車場として整備することを検討しているわけですが、購入に向けた話もまだ進んでいない状況です。このプロジェクトに付いては、進展があり次第今後のコラムでお話ししようと思います。(執筆者:内田 陽一)
情報提供元: マネーの達人