海外旅行に行く際、万が一に備えて海外旅行傷害保険に加入している人も多いでしょう。
最近では、クレジットカードに付帯している海外旅行傷害保険で間に合わせている人もいます。
海外旅行傷害保険で最も利用頻度が高いのは、「傷害治療」と「疾病治療」と言われていますが、クレジットカード付帯の海外旅行傷害保険では、「キャッシュレス診療」に対応しているかどうかが重要です。
キャッシュレス診療とは何か?
空港カウンターや代理店で加入する海外旅行傷害保険では、キャッシュレス診療に対応していますが、これは文字通り「キャッシュレスで診察や治療を受けられるサービス」です。
海外の治療費はとんでもなく高い!
海外でけがや病気の治療をすると、日本では考えられないほどの高額な治療費を払わされる羽目となります。
「ジェイアイ傷害火災保険2013年度海外旅行保険事故データ」より、その一部を紹介します。
グアム:352万の保険金支払い
・ ホテル前のビーチでシュノーケリング中におぼれる
・ 心筋梗塞と診断されて5日間入院
・ 家族が現地に駆けつける
ハワイ:372万円の保険金支払い
・ ディナークルーズ中に食事をのどに詰まらせ救急車で搬送
・ 誤嚥の診断で3日間入院
・ 家族が現地に駆けつける
インドネシア:452万円の支払い
・ バスルームで転倒し足と腰を強打する
・ 大腿骨頸部骨折と診断されて33日間入院と手術
・ 家族が現地に駆けつけ看護師が付き添い医療搬送
日本ならばせいぜい数十万円で済みそうな医療費も、海外では何かとかかります。
もしキャッシュレス診療でなければ、まずは自分で治療費を立て替えて、帰国後に保険会社に請求する流れとなりますので、とてもこれだけの高額な治療費は支払えませんよね。
キャッシュレス診療に対応してくれる保険ならば、自分で治療費を立て替える必要もありません。
キャッシュレス診療を利用する流れ
では、キャッシュレス診療を受けたいとなればどのような流れとなるのか、万が一に備えて予習をしておきましょう。
(1) 利用者 :カード会社の緊急デスクに電話をする
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(2) カード会社 :カード番号などで会員情報を照合する
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(3) 利用者 :キャッシュレス診療を利用したい旨を申し出る
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(4) カード会社 :提携医療機関に診療の予約をする
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(5) カード会社 :予約をした医療機関で診療を受けるように利用者に伝える
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(6) 利用者 :カード会社に案内された医療機関に行って治療を受ける
キャッシュレス診療に必要な持ち物
・ パスポート(本人の身分確認のために使われます)
・ クレジットカード
・ カードの利用明細(保険の付帯条件が『利用付帯』の場合)
キャッシュレス診療の注意点
利用付帯が条件のクレカは、旅行代金をカード払いする
クレジットカード付帯の海外旅行傷害保険には、「自動付帯」、「利用付帯」の2つの付帯条件があります。
自動付帯は、文字通り何もしなくても保険が付く条件ですが、利用付帯は事前に旅行代金をカード払いすることが付帯条件となります。
旅行代金の定義は保険会社によって異なりますが、ツアー代金、航空券代などは間違いなく対象となります。
ホテル代や現地のレンタカー代などは、カード会社に確認をしておきましょう。
ちなみに、主なクレジットカードの付帯条件は以下のようになります。
近くに提携医療機関がないこともある
キャッシュレス診療は、保険会社と提携している医療機関で診療を受けなければなりませんが、提携医療機関はその国の首都、もしくは観光地にしかないことが多いです。
だからといって、勝手に提携していない医療機関で診療を受けても、キャッシュレス診療の対象とはなりません。
24時間365日、日本人がストレスなく診療を受けられるとは限らない
キャッシュレス診療の提携医療機関は、必ずしも24時間365日対応可能なわけではありません。
エイチ・エス保険の提携医療機関である北京の「中日友好病院 国際医療部」では、月曜日~金曜日の8時~11時30分と13時~16時のみ受診を行なっています。
受診時間を確認した上で、来院するようにしましょう。
また、日本人がストレスなく診療を受ける際には、日本語が通じることが重要ですが、提携医療機関の中には日本語に対応していない病院も少なくありません。
英語には対応している病院がほとんどですので、英語が堪能な人はさほど心配する必要はありませんが、体の微妙な具合を外国語で伝えるのは簡単ではありません。
それならば、海外旅行保険の付帯サービスとしてあることの多い「通訳サービス」を利用するといいでしょう。
有料の保険会社もありますが、自分の体の具合を正確に伝えるためには、通訳を手配してもらうのが最適です。
カードを利用した控えは持参する
旅行代理店にツアー代金を支払った際には、利用控えを事前に受け取るはずなので、それも忘れずに携帯しましょう。(執筆者:角野 達仁)
情報提供元: マネーの達人