「医療費が払えないくらいに高額になってしまったらどうしよう…」
「働けない間の収入はどうなるのだろう…」
いざ病気やケガで入院すると、誰もが色々な不安を覚えます。その中でもお金に対する不安は相当なものです。
そこで今回はなるべく負担が少なくなるような社会保険の活用方法を手続きの手順と申請時期を中心に分かりやすく解説します。
医療費が高い! どうすればいいの?
健康保険には高額療養費という制度があります。
この高額療養費制度は、医療機関等の窓口で高額な医療費を一旦支払い、後日申請をして払戻しを受ける仕組みのことです。
支給されるのは窓口で支払った金額(1月あたり)のうち自己負担限度額(※)を超えた部分になります。
なお、医療費のうちベット代や食事代などは高額療養費制度の対象外となっています。
また、払戻しを受けるまでには通常受診月から3~4か月ほどかかりますのでご注意下さい。
※自己負担限度額:給与の違い(所得区分)によって医療費を自己負担する金額の限度額が法律で決められています。
給与によって医療費の支払額が異なる
平成27年1月診療分から
※標準報酬月額:毎年4月~6月の3か月間に支給された報酬の合計額の平均を「標準報酬月額等級区分」に当てはめて決定したものです。大幅な賃金の変動があった場合は、その都度見直されます。
ただし後日払戻されるとはいっても、これでは医療費が高額になればなるほど、一時的とはいえ医療費の負担は大きくなってしまいます。
事前に届出ることで高額な医療費の自己負担を回避できる
そこでまず、出来る限り急いで「限度額認定証」を申請して下さい
事前に「限度額認定証」を申請しておき、それを病院の窓口に提示することで窓口での支払額を上記表の自己負担限度額に留めることが出来るのです。
つまり、高額な医療費を一時的に立て替える必要がなくなるわけです。
医療費がいくらかかるか分からないような場合でも、とりあえず「限度額認定証」を申請することは可能なので、念の為申請しておくとよいでしょう。
休業中の生活費はどうする?
医療費についてはこれで少し安心できたでしょう。
しかし生活費の問題があります。これについては一定期間働けない間に所得補償をしてくれる傷病手当金という制度があります。
支給される傷病手当金の額
所得補償は事前に受けられない?
この傷病手当金申請は必ず事後の申請となることに注意しなければなりません。
傷病手当金を申請する際には必ずその申請期間について労務不能であったということを医師に証明してもらう必要があります。
しかし「証明」はあくまでも過去の状態に対して出来るものであり、未来の療養期間に対しては証明のしようがありません。
例えば1/1~1/31までの入院期間中に対する傷病手当金を請求する場合は、2/1以降にならないと医師は証明することが出来ないので、傷病手当金も申請することが出来ないことになります。
傷病手当金の請求時期は特に決まりはありませんが、一般的には、生活を考慮して1か月ごと申請することが多いようです。
申請してから通常2週間前後で支給されますので、忘れずに請求をするようにしましょう。(執筆者:山口 直)
情報提供元: マネーの達人