私は「空き家対策、空室問題研究会」を主宰しています。
私も含めて東京大改革に対して解決しなければならない喫緊の問題と捉え、空き家対策、空室問題に対する政策立案を行うという志を持って集まってくれています。
現役の議員も参加してくれていますので政策に活かしてくれるのでやりがいがあります。
売れない空き家のイメージって?
さて、皆様は「売れない空き家」というとどの様なことが頭に浮かびますか?
(1) 買い手がいない
(2) 売主の意見がまとまらない
(3) 家の価値がない
(4) 所有者が不明
といったところでしょうか。
(1) 「買い手がいない」について
土地や建物に魅力がなくて買い手がつかないという場合ですが価格を下げることが出来れば買い手がつく事もあるのでしょう。
(2) 「売主の意見がまとまらない」について
相続人が複数で相続し土地建物の所有権が共有持ち分となっているケースは全員の合意がないと売ることは出来ません。
このケースは多いのですが、固定資産税の支払いや維持管理費の支払いに対して問題意識が共有出るまで待つしかありません。勿論、相続で揉めていたら長期戦になります。
(3) 「家の価値がない」について
家が雨漏りをするとか、傾いているなど外観を見ただけで買主は購入意欲をそがれてしまいます。
しかし、土地の価格から解体費を除いた金額で購入すると考えれば掘り出し物にあたるかもしれません。
買い手がつき、売り主も売りたいのに売れない場合
それでは、買い手がついたし売主も売りたいのに売れない場合を考えてみてください。
(イ)隣地と境界で揉めている
(ロ)再建築が出来ない
(ハ)違法建築である
といったところでしょうか?
(ニ)地主の承諾が得られない
というところまで考えられたらプロレベルです。
現場で体験するケースはそれぞれです。
(イ)「隣地と境界で揉めている」について
土地を売買する場合は、面積と境界の確定は必須であります。
このコラムを読んでいる方も、土地の面積が明確でないと買いませんよね。しかし、隣地と揉めていて境界が明確にできないケースは多いのです。
それに、近隣が相続で揉めているケース。
隣地が空き家で所有者と連絡が付かない場合は厄介ですし、所有者が認知症で意思能力が確認できない場合もあります。
当然ですが面積が確定しないと担保価値がないとして金融機関は融資をしてくれません。
(ロ)「再建築が出来ない」について
家を建てる場合は、4メートル幅の道路に2メートル以上接してなければ建築できません。
道路の種類は公道でも私道でもOKです。一般の方はご存知ないでしょうが道路には、番号が付いています。
例えばさいたま市道〇〇号線で私道には、指定道路番号が付いています。何年何月〇〇号というものです。
指定道路に面しているので建築確認は取得できると考えてしまいますが、該当地の所有者が私道の持ち分を持たない場合は水道や下水に関して私道の持ち主の承諾を必要としますが、貰えないケースもあるのです。
(ハ)「違法建築である」について
建蔽率、容積率の制限というものがありますが耳にしたことがありますでしょうか? 建蔽率60%や容積率200%ということです。
敷地面積が100㎡の地域は、建築面積60㎡で延床面積が200㎡まで可能というものですが、それ以上の面積で建築されている家も多いのです。
その他、建築基準法違反の家も多くあります。
(イ)・(ロ)・(ハ)のケースは、金融機関から融資を受けることは難しいです。
※イのケースはフラット35が利用可能だと考えています。(適合証明を取得できることが条件です)
(ニ)「地主の承諾が得られない」について
旧法の借地権の場合で、借地権と建物を売るには地主さんの承諾が必要となります。
地主の承諾なしに売買してしまうと借地権を解除されることになります。
地主から承諾が得られない場合は、裁判所による代諾許可が必要となりますので記憶にとどめておいてください。
しかし、(イ)・(ロ)・(ハ)のケースは土地を所有権として売買しない場合は、売却は可能となります。
適合証明を取得出来ればフラット35の融資は可能性があります。
中古住宅を定期借地権付き建物として契約する
中古住宅を定期借地権付き建物として契約するのです。借地期間を50年として設定し土地を賃借します。
購入した方は、建物所有者になりますから好きなようにリノベして住むことが可能となります。
50年なんて長いよという方、途中で売ることも貸すことも出来ます。建物を解体して更地に戻せば契約期間内であっても地主さんに土地を返すことが出来ます。
勿論、返してしまう事のペナルティはありませんし賃料を払い続けることは必要ありません。
「中古購入補助」という制度がスタート
そして、中古購入補助という制度がスタートしましたのでチャンスです。
2月から申請の受付が開始となります。
国土交通省の発表によると中古住宅を購入し、省エネや耐震改修などのリフォーム工事を行った人に、最大で65万円を補助する制度です。
補助対象者は40歳未満に絞り、子育て世帯など若年層の住宅取得を後押しする。中古住宅やリフォーム市場を活性化させ、空き家の増加に歯止めをかける狙いがあります。
対象となるのは、中高住宅を購入した40歳未満の人で、専門家に建物の劣化状況などを検査してもらう「インスペクション(住宅診断)」を受けることが条件となります。
住宅診断と省エネリフォームにかかる費用について最大で50万円を補助し、耐震改修を行う場合は更に15万円が上乗せされ、補助金は宅建業者などが住宅購入者に代わって国に申請し、購入代金から補助額を差し引く仕組みです。
勿論、所有権の土地建物の取得でもこの制度は利用できますからチャンスを逃さないでください。
同省は1万戸以上の利用を見込んでいるのです。
最後に
土地を買わない分安価で購入して人生を楽しむというのも一つの選択肢ですね。
定期借地権については拙著『相続対策、空室問題「定期借地」がすべて解決します』を読んでみてください。(執筆者:岩宗 繁樹)
情報提供元: マネーの達人