離婚後の面会交流について
子どもをみていない親が、一定の期間ごとに子どもと会ったり、電話・手紙などで子どもとやりとりする、面会交流。
かつては「面接交渉」と言っていましたが、民法の改正により離婚のとき話し合いで決めるようにという規定が設けられました。
この面会交流が、ここ最近の少子化や男性の育児への積極的な参加の増加などにより、親権と併せてよく問題になってきています。
具体的には、面会交流の申立件数が調停で平成17年に約6,800件のところが、10年後の平成27年で約1万8,000件余りと約2.6倍になっています。
また、調停で話し合いがつかず裁判官が判断する審判という手続きに移った件数も、平成17年にわずか1,150件のところ、平成27年に約3,000件と3倍近くにのぼっています。
子どもの成長にとってより良い形で交流するために
離婚をした後も、例えば養育費の支払いを求めると、面会交流の調停を裁判所に起こされたりと、養育費とあわせて問題になることも多いです。
面会交流は子どもの心やからだに影響を与えることがあります。
ですから子どもをみていない親が会うにしても、子どもの成長にとってよりよい形で行うべきとされています。
無制限に会うことが認められるわけではありませんが、実際のところ面会交流が禁止されたり制限されるケースは以前と比べ限られてきています。
かつてはまだ離婚が成立していないため、夫婦の間の対立が激しいという理由で面会交流が制限されることもありました。
しかし今では子どもへの暴力や精神的な虐待など、子どもにとって直接的に悪影響があると思われるケースに限られてきています。
面会交流の具体的な取り決め
それでは、面会交流をするにあたって具体的にどんなことを決めておけばいいのでしょうか。
以前は、「協議により定める」とすることも多かったのですが、そうするとその度に話し合いができないときにトラブルを抱えることにもなります。
できれば
・ どのくらいの期間ごとなのか
・ 何時から何時まで行うのか
・ どこの場所で引き渡すか
・ 連絡手段は(電話かメールなど)どうするか
といったことをあらかじめ決めておいた方がよいでしょう。
面会交流のときに直接相手と連絡をとったり、会うのはちょっと…という場合には、中立的に関わってくれる機関を利用するのもよいでしょう。
このような機関には、家庭問題情報センター(通称FPICといいます)や、各地域にあるNPO法人などがあります。
インターネットでHPがあるところも割とあります。ちなみにFPICの場合、援助には面会交流の付き添い、受け渡し・連絡調整のみ、などがあります。
こういった機関を利用するときは費用がかかるため、どちらがどの程度負担するかも決めておきましょう。
面会交流の話し合いがつかないとき
親同士で話し合いが難しければ、裁判所での調停・審判で調整をすることになります。
調停の申立の場合、子ども1人につき1,200円の印紙代と書類を相手に送るときに必要になる郵便切手代(申立をする裁判所により金額が異なります)が必要になります。
最近は審判まで行くことも結構多い印象があります。
片方の親と子どもが会っていない期間が長いような場合などには、家庭裁判所の中にある、児童室という、プレイルームのような部屋を使って、親子の交流場面をセッティングし、様子を見たうえで調整することもあります。
面会交流がすすまないときの対処法
このように、面会交流について、裁判所でせっかく調停や審判の手続きをとっても、進まないことがあります。
そういったときにとりうる方法がいくつかあります。
(1) 履行勧告
面会交流を決めた家庭裁判所に申し出をして、その裁判所からきちんと決められたとおりに行うように、と勧告してもらう制度です。
これだけなら費用が特にかからずにしてもらえます。
(2) 間接強制
ただ、履行勧告には強制力がないので、言われても放置されてしまう可能性があります。
そういった場合に、調停条項で定めた義務の履行を一定の時期までに求め、従わないと「1回あたり○万円を支払え」と金銭の支払いを命じてもらうことで、相手方に心理的な強制力を与える制度が、「間接強制」です。
利用するには、子どもをみている親がやるべき義務の中身が定まっていることが必要です。間接強制で命じられる金額は数万円程度が多いようです。
(3) 再度の調停申立
場合によっては、一度決めた調停の内容から事情の変化があり(子どもの成長、転勤や引越しにより居所が遠くになった)、それに応じた取り決めを再度行う必要が出てくることもあるでしょう。
話し合いが難しければ再度調停を行うことも考えるとよいでしょう。
まとめ
いずれにしても面会交流は子どもの成長にとってよりよい形で行うべきものです。
子どもが板挟みになりこころとからだに負担が生じないよう、十分に配慮することが大事です。(執筆者:片島 由賀)
情報提供元: マネーの達人