最近、テレビなどで頻繁に取り上げられるようになった「セルフメディケーション税制」。
確定申告をすればドラッグストアや薬局等で購入した医薬品の購入代金の一部が戻ってくる、税金が安くなる、などで話題のこの制度。
主なポイントをまとめました。
制度の対象となる医薬品は、識別マークを参考に
セルフメディケーション税制は、制度の対象となる成分を含んだ医薬品にのみ適用されます。
対象となる医薬品は、識別できるマークを印字、貼るなどの対策を順次行っています。
分からない場合は薬局で薬剤師に確認するほか、厚生労働省のセルフメディケーション特設ページの「セルフメディケーション税制対象品目一覧」でも確認することができます。
医薬品は識別マークがあるものを積極的に選ぶのではなく、薬剤師に相談するなどして自分の症状に合ったものを購入してください。
≪これが↑セルフメディケーション税制の対象商品のマークです≫
購入時のレシート(領収書)は大切に保管
制度の適用を受けるためには、医薬品購入時のレシート(領収書)が必要です。大切に保管してください。
なお、レシートには、対象品であることを示す★のような印のほか、「セルフメディケーション税制」の対象品であることが記されるなど、対象品であることが明記されます。
定期健康診断、インフルエンザの予防接種、がん検診などを受けておく
制度の適用を受けるためには、確定申告をする方が健康増進・疾病予防に取組んでいた証明が必要です。
証明書類として、定期健康診断、予防接種などを受けた結果出される結果通知表、領収書を確定申告の際に添付(又は提示)します。
なお、いずれか1つを受けていればよく、これら全てを受けている必要はありません。
制度の適用を受けるために必要な年間の購入金額は1万2,000円超
年間の対象医薬品の購入金額が1万2,000円を超えていないと適用を受けられません。
例えば、所得税率が20%、個人住民税率が10%の方が、扶養家族分を含み年間5万円の対象医薬品を購入した場合、1万1,400円の税金が安くなるという試算結果となります。
所得税 (5万円 - 1万2,000円) × 20% =7,600円
購入金額 下限額 所得税率
住民税 (5万円 - 1万2,000円) × 10% =3,800円
個人住民税率
合計 7,600円 + 3,800円 = 1万1,400円
(日本薬剤師会HP 「セルフメディケーション税制チラシ」を元に加工)
一方、上限もあり、購入金額10万円(1万2,000円を控除後の金額で8万8,000円)となっています。
適用を受ける際の金額は、実際に支払った税込の金額で、セール等によって割引がある場合は割引後の金額となります。
セルフメディケーション税制の適用を受けると、現行の医療費控除の適用は受けられない
セルフメディケーション税制は、現行の医療費控除と同様に確定申告が必要です。
注意点は、確定申告者1人につき、従来の医療費控除と、セルフメディケーション税制はいずれか一方しか適用を受けられないこと。
どちらを適用した方が自分にとって有利か、自分で試算の上、選択する必要があります。
なお、同じ世帯の中で、現行の医療費控除によって申告する人、セルフメディケーション税制によって申告する人など、それぞれの申告が異なることは可能です。
これまでは、所得が一定額を超えている方の場合、年間の医療費が10万円を超えないと税金の優遇がありませんでした。
セルフメディケーション税制の登場によって、支払った税金が戻る、安くなる可能性が広がることが期待されます。
高額な医療費が国の財政を圧迫する現代、自分で健康維持増進に努める方を税金面でもバックアップする制度であるともいえますので、是非活用してはいかがでしょうか。
制度を適用するかどうか分からないという方も、来年以降の確定申告に備えて医薬品を購入した際のレシートは保管しておくことをお奨めします。
制度の詳細や最新の状況は、以下の機関を中心に公開されていますので、これらの情報を参考にしてください。
厚生労働省HP セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)について
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000124853.html
日本OTC医薬品協会HP OTC医薬品の医療費控除制度
http://www.jsmi.jp/what/index3.html
日本一般用医薬品連合会HP 知ってトクするセルフメディケーション税制
http://www.jfsmi.jp/lp/tax/index.html
公益社団法人日本薬剤師会HP セルフメディケーション税制に関する資材・資料
http://www.nichiyaku.or.jp/kokumin.php?p=20161007
以上です。(執筆者:荻窪 輝明)
情報提供元: マネーの達人