中央銀行が動けば、マーケットは揺れます。株価や為替が反応するわけです。



中央銀行の政策、中央銀行が発するメッセージがどのようにマーケットを揺さぶるのか考えてみましょう。







中央銀行の役目は「景気」を安定的に良くすること


世界各国には必ず中央銀行はあります銀行の中の銀行と呼ばれ、一般の銀行に資金を供給したり、銀行から資金を回収したりします



中央銀行は一般の銀行にお金を貸しますので、その際のレート、貸出金利を決めます。それを、定期的に、メンバーが集まって決めるのです。



ヨーロッパではその会合がECB理事会であり、アメリカではFOMCと呼ばれています。日本では日銀金融政策決定会合、そのまんま「べた」な名前ですね。



お金は世界中を回っていますので、一国の中央銀行の政策でも、世界中の経済に大きな影響を与えます。



特にドルは基軸通貨であり、ユーロは流通量が多いだけに、米FOMCやECB理事会は、世界のマーケット関係者が大注目するわけです。



中央銀行の役割は、景気を安定的に良くすることです。中央銀行が担当するのは「景気」なのです。



景気が良くなるということは、それはインフレにつながります。インフレとは物価が上がることです。



景気対策は株価対策


株価が上がれば景気は良くなります。



株価は企業の通信簿ですから、株価が上がるということは企業業績がよくなるということで、それは労働者の賃金に反映し、消費が伸びます。



世界の中央銀行の中で、アメリカの中央銀行であるFRBだけは、世界で唯一「雇用の最大化」をテーマにしてます。それだけ、雇用は景気にとっては大事なバロメーターということになります。



景気対策は株価対策ともいえます。株式投資をしている人たちは、中央銀行の政策に敏感になるのはよくわかります



中央銀行は景気を良くすることが役割ですから、中央銀行がすることは株価にとっても良いことだとなります。



中央銀行にとって「デフレ」は恥


中央銀行にとってデフレになるということは「恥」なのです。絶対にあってはならないことなのです。



中央銀行は、どんなことをしてでもデフレを阻止します。それこそどんな手を使ってでもです。



それが量的緩和政策です。まさに禁断の政策と言えます



リーマンショックという、人類が作った史上最悪の金融不安による経済低迷、景気減速は、まさに、世界中をデフレに陥れるほどのものでした。



中央銀行は金利操作で景気を調整するのが仕事です。ところが、リーマンショック後の世界経済は、金融そのものが機能しなくなりました



金融機関への信用ががた落ちになったのです。金利をいくら下げてもマーケットは一切反応しなくなりました



まさに禁断の量的緩和という、強引な資金のばら撒きを行ったわけです。それだけデフレはいやなのですね。



中央銀行は金利調整で景気を支える






中央銀行は景気を良くすることが仕事です。景気を良くするために、株式市場を刺激します。



その刺激する道具が金利です



株価が上がっているときに金利を上げれば株価は下がります。



逆に株価が下落しているときに金利を下げれば株価は上がります。株価に良いことは、金利を下げることです



でも、金利をいつまでも下げ続けるわけにはいきません。中央銀行としては、景気を調整する道具を失うことになるからです



そこで株式市場の状況を見て、少々金利を上げても大きな株価の下落を招かないだろうと判断したときに金利を上げていきます。



それが今なのです。



利上げに踏み切ったわけ


ここで言う利上げ対象となる金利は政策金利です。中央銀行が市中銀行に貸し出す金利と思ってください。



金利はお金の調達コストですから、お金を引っ張るときに、コストは小さいほうが有利ですよね



株価は企業の通信簿ですから、株価にとってコストが下がる利下げは、大歓迎なのです。



トランプ氏が利上げを許さないという発言は、製造業にとってコスト高になることはダメだよと言っているのでしょうね。



ずっと市場をウォッチしてきて、マーケットと対話してきて、先週ようやくFRBは利上げに踏み切ったわけです



利上げをしても株価は大丈夫だろうと判断したのでしょう



利上げによる為替への影響は


中国要因だ欧州要因だと、海外要因でなかなか金利が上げられなかったのも、株価への影響を心配したからです。



でも、ドルは買われドル高を誘発しますし、政策金利を上げてくると、長期金利も上がってきます



それは株価にとってはあまり好ましくない状況と言えます。



徐々に株価も、利上げを理解しだしてくると思われます。それでも株価が上がってくるとなると、よほど企業業績が良いわけで。そこから本物の株価上昇が始まるのでしょう。



ドル買いは、確かに利上げをすれば進みますが、マーケットは材料を先取りします。FRB利上げを見込んですでに大量にドル買いは進んでいました。



それゆえ、米利上げイコールドル高にならないマーケットなのです。材料で尽くしの利益確定によるドル売りも出てくるでしょう。



株式市場と為替市場とでは、米利上げの受け止め方が異なってくるのですね。



日欧の中央銀行は今後どうする?






アメリカは利上げに踏み切りましたが、日欧の中央銀行は、まだ金利を上げたら株価は下落すると判断して、利上げはできない状態にいます



この中央銀行の政策の差が、今後のマーケットに大きく反映されてくると思われます…(執筆者:原 彰宏)



情報提供元: マネーの達人
記事名:「 アメリカの中央銀行が「利上げ」 そもそも中央銀行の役割ってなに?