年末調整の書類を提出した後で、
・ 保険料控除証明書が見つかり添付・記載漏れがわかった
・ 扶養家族の記載漏れがあった
ということもおこりえます。
今は年末調整の結果に影響しませんが、出産が年末年始になるようですと、12月31日までにお子さんが生まれるかで扶養親族数も変わります。
その際に、勤務先の総務部などに年末調整をやり直してほしい…という考えになるでしょうが、源泉徴収票が発行された後などでも、応じてもらえるのでしょうか。
会社側が「控除漏れ」に応じる義務はなし
労働者保護的ではない感じですが、所得税基本通達上は、控除漏れを訂正しての再計算をしても差し支えないとしており、国税庁作成の「年末調整のしおり」でもやり直しできるとしていますが、義務としては通達されていません。
納税漏れがある場合は、追加納付の義務を企業側に課していますが、納税額が減る分に関しては義務ではなく任意とする発想です。
そのため配偶者のパート収入が、見積の予想外で年103万円を超えてしまったようなケースでは、不足税額が生じるためやり直しが義務になります。
やり直さないと税務署から通知が来ます。(参考記事:「あなたの奥さん、扶養じゃないのでは?」夫の勤務先がなぜわかるのか?)
年末調整後のフロー
控除漏れの再計算をする場合でも期限はあって、翌年の1月31日(土日であれば明けの月曜日)です。
企業の総務部などでは、この期限までに複数の税務関係書類提出を求められます。
その1つとしては、従業員の住んでいる市区町村に、(住民税の簡易申告のような形で)源泉徴収票の内容を記載した給与支払報告書を提出します。
従業員に対する源泉徴収票の交付期限も1月31日であるため、その日が年末調整による所得の最終確定期限と言えます。
やり直してもらえる可能性
20日締め25日払いで、12月25日の給料日にきちんと還付されるような企業ですと、振り込みの手続きを行う前までに年末調整の計算を終える必要がありスケジュールがタイトなため、年末調整の書類提出期限を11月中にしているケースが多いです。
このような企業では、12月(特に20日以降)や翌1月に訂正されても、想定していない余計な仕事が増えると判断されるため、応じてくれないことも覚悟したほうがいいでしょう。
柔軟に応じてもらえるなら助かることですが、還付増額分は1月・2月の給与で反映されるはずです。
税理士等が年末調整業務を全て代行するような企業(主に零細企業)では、所得税納付期限が1月20日のところもあり、年末調整還付も1月分の給与でいう企業も少なからずあります。
このような場合は、上記のケースより期限的には後ろになり、概ね年明け早々ぐらいまではやり直してもらえる望みがあります。
年明け1月4日頃から税務署への還付申告は可能
応じてくれない場合、還付が生じる再調整は義務としていない以上、いたずらに労使で揉めるのも得策とは考えられません。
そうなれば確定申告により所得税を還付してもらうことになります。
1点注意点を挙げるとすれば、年収500万円以下(会社役員は150万円以下)で給与以外の所得が無ければ、(年末調整だけでは)マイナンバーによる所得管理は市区町村でなされるため、還付申告することで、あえて自分のマイナンバーを税務署の管理下におくことになります。
(参考記事:平成28年分の所得からマイナンバーとの紐づけ開始 税務署はどこまで所得を把握できるのかを考える)
確定申告の期間は2月16日~3月15日とされていますが、還付申告はこの期間に関わらず翌年1月1日から5年間は提出できます。
もっとも官庁仕事始めは1月4日~6日であり、平成28年分の申告であれば29年1月4日には、Web上での確定申告書等作成コーナー(e-tax申告も可能)や税務署の窓口にて受付が開始されます。
自宅からでも申告可能
自宅からe-taxで申告する場合は源泉徴収票や保険料控除証明書は提出省略ができます。(保存はしてください)
パソコン以外にカードリーダ及び、電子証明書つきの個人番号カードもしくは住基カードが必要です。
カード等が無い場合、確定申告書等作成コーナーの結果を印刷して書面提出もできますが、添付書類も提出することになります。
税務署や出張窓口で申告する場合は、(年金や株式関係の添付書類がそろう)1月下旬ぐらいでも混雑するところがありますので、早めの申告をおすすめします。
源泉徴収票を年内にもらっていて、年末年始休暇が1月4日以降までの企業であれば、休暇中に申告することも考えられます。(執筆者:石谷 彰彦)
情報提供元: マネーの達人