親の家は生きているうちに売るか、相続してから売るか。使える3,000万円の特例が違う
一人で暮らす親が、この家はもう手放してもいいと言い始めたら、今売るのと、いずれ受け継いでから売るのとで何が違うのか気になるところです。どちらにも譲渡所得から差し引ける特別控除がありますが、売る人と時期で使える特例が変わり、条件も期限も違います。国税庁の案内をもとに、売る時期ごとの特例と確かめたい条件を解説します。
売る人と時期で、使える特例が分かれる
国税庁の案内では、親が自分の住まいとして売るなら居住用財産の特例、親が亡くなった後に子が売るなら空き家の特例と、関わる特例が分かれます。親が住んでいるうち、住まなくなった後、受け継いだ後の順に見ると違いがつかめます。
親が売るときに見落としやすい条件
親が売るときに注意したいのが買う人です。親子や夫婦、生計を一にする親族など特別の関係がある人に売った場合は、この特例の対象になりません。
家屋が残っている場合、住まなくなった後の家の使い方は問われませんが、表の期限までに売る必要があります。取り壊して敷地を売る場合には、取り壊した日から1年以内の譲渡契約など追加条件があります。たとえば親が別の住まいに移り、しばらく様子を見てから売る場合も、この期限から逆算して時期を考えることになります。
長く持っている家なら、売った年の1月1日に家と敷地の所有期間がともに10年を超えるなどの要件を満たせば、軽減税率の特例を居住用財産の特別控除と重ねて受けられます(国税庁)。
親が亡くなった後に子が売るなら、空き家の特例
子が受け継いだ実家を売るときは、国税庁の案内にある被相続人の居住用財産(空き家)の特例が関わります。相続の開始の直前に親が住み、親のほかに住んでいた人がいなかった家で、昭和56年5月31日以前に建築されたもの(区分所有の建物を除く)が対象です。要介護認定等を受けて老人ホーム等に入所した場合も、一定の要件を満たせば含まれます。一方、介護のため子の家へ転居し、そこで亡くなった場合は対象になりません。相続の時から売るまで事業や貸付け、居住に使っていないことと、売却代金が1億円以下であることも要件です。1億円以下かどうかは、他の相続人が売った分や分割して売却した分を合算して判定する場合があります。
家の状態にも決まりがあります。売る時に家が一定の耐震基準を満たしているか、家を取り壊してから土地を売ることが求められ、令和6年1月1日以後の売却では、売った年の翌年2月15日までに耐震基準を満たすようにした場合や取り壊した場合も対象に加わりました。特例そのものは令和9年12月31日までの売却が対象で、家屋と敷地等を取得した相続人が3人以上なら控除の上限が下がります。
なお、空き家の特例も親子や夫婦など特別の関係がある人への売却は対象外です。どちらの特例も、受けるには一定の書類を添えて確定申告をすることが必要です。空き家の特例では、売った家の所在地の市区町村長から交付を受ける「被相続人居住用家屋等確認書」なども添えます。
売る前に、名義と住まなくなった時期を確かめる
親が売るか、受け継いでから子が売るかで、使える特例も期限も変わります。まず家の名義、親がいつまで住んでいたか、建築年を確かめ、国税庁の案内の条件に照らしてみましょう。迷うところがあれば、売る前に税務署に相談すると見通しが立てやすくなります。
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