敷金が返ってこないとき、60万円以下なら少額訴訟も。話し合いで折り合えなくても道はある
退去して数週間がたつのに戻るはずの敷金が振り込まれず、届いた請求書は思っていたより高く、管理会社に電話しても話が進まないことがあります。そんなとき、話し合いの先には簡易裁判所の手続きがあります。令和8年5月21日からは訴えをオンラインでも起こせます。動く前に、請求書の明細と契約書、入居時と退去時の写真をそろえておきましょう。
敷金の決まりと、最初に確かめたいこと
民法は、賃貸借が終わって部屋を返したとき、貸主は受け取った敷金から家賃など借主が負う金銭の債務を差し引き、残りを返さなければならないと定めています。借主が原状に戻す義務を負う損傷からは通常の使い方でできた損耗と経年変化が除かれ、借主に責任のない理由による損傷も同様です。
請求に納得できないときは、まず貸主側に費用の明細の説明を求めて話し合うよう、国民生活センターは呼びかけています。国土交通省も、契約書の条文があいまいな場合などは原状回復をめぐるトラブルとガイドラインを参考に話し合うよう案内しています。折り合わなければ、お住まいの自治体の消費生活センターに相談できます。
話し合いの場を裁判所に移す民事調停
当事者どうしでは話がまとまらないものの、できれば話し合いで終えたいときに使えるのが、簡易裁判所の民事調停です。裁判所の案内では、調停は勝ち負けを決めるのではなく、お互いの合意で紛争の解決を図る手続きで、借地借家をめぐる紛争も対象に挙がっています。
申し立てると、通常は裁判官と調停委員でつくる調停委員会が双方の意見を聴き、解決案を示します。合意できれば調停が成立し、調停調書は確定した判決と同じ効力を持ちます。申立先は原則として相手方の住所地を管轄する簡易裁判所で、手数料のほかに裁判所ごとに異なる郵便料が要ります。
1回の審理で判決をめざす少額訴訟
裁判所の案内では、敷金・保証金の返還は、支払督促や調停、通常の訴訟と並んで少額訴訟でも扱える紛争に挙がっています。少額訴訟は、60万円以下の金銭の支払を求める訴えについて、原則として1回の審理で紛争の解決を図る簡易裁判所の手続きです。言い分と証拠は最初の期日までに出しきり、証拠は審理の日にその場で調べられるものに限られます。
気をつけたいのが使い方の制限です。利用は同じ裁判所で1人につき年間10回までで、訴えられた側が求めたり、紛争が複雑だと裁判所が判断したりすれば通常の訴訟に移ります。
手続きも変わりました。令和8年5月21日からは書面に加えてオンラインで訴状を出せるようになりました。同日以降に提起された新法適用事件では、別に納めていた郵便費用は申立手数料に一本化されました。ここまでの手段を並べると次のとおりです。
証拠をそろえてから、どの場で話すかを選ぶ
敷金の話がこじれても、取れる手段は一つではありません。まずは明細と契約書、写真をそろえて説明を求め、折り合わなければ身近な相談窓口を頼りましょう。なお解決しないときも、民事調停と少額訴訟の違いを裁判所の案内で確かめてから選べば、慌てずに次の一手を考えられます。
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