NISAで出た損は、ほかの口座の利益と差し引けない。繰り越しもできない
NISA口座で買った投資信託が値下がりし、持ち続けるか売るか迷っている方もいるでしょう。売って損が出ても、ほかの口座の利益と差し引けば税金を減らせると考えがちです。ところが、特定口座や一般口座の上場株式等の損なら所得税の申告で使える損益通算や繰越控除が、NISA口座の損には使えません。
まず確かめたい、その商品がNISA口座にあるかどうか
最初に見ておきたいのは、売ろうとしている投資信託や株式が、NISA口座と特定口座・一般口座のどちらにあるかです。同じ商品でも、置いている口座で税金の決まりは大きく変わります。ここでは、口座による税金の違い、NISA口座で出た損の行方、売った後の非課税枠の順にたどります。
金融庁の案内では、NISA以外の通常の口座で株式や投資信託に投資した場合、売って得た利益や受け取った配当に約20%の税金がかかります。これに対し国税庁のタックスアンサーによると、令和6年以降のNISAで取得した上場株式等の売却益(譲渡益)は非課税となります。
NISA口座で出た損は、税金の上では「ないもの」に
注意したいのが、NISA口座で売って出た損の扱いです。国税庁のタックスアンサー(令和8年4月1日現在の法令等)は、非課税口座で取得した上場株式等を売却して生じた損失について、ないものとみなされると明記しています。租税特別措置法にも、その損を所得税に関する法令の適用ではないものとみなす定めがあります。
このため、特定口座や一般口座で持つ上場株式等の配当等や売却益と差し引く損益通算も、翌年以後へ持ち越す繰越控除もできません。たとえば同じ年に、特定口座の株式を売って利益が出て、NISA口座の投資信託を売って損が出たとします。この場合も、NISA口座の損をその利益から差し引いて税金を減らすことはできません。
売った分の非課税枠は、翌年以降に簿価の分だけ戻る
もう一つ気になるのが、売った後の非課税枠です。国税庁によると、令和6年以降のNISAの非課税保有限度額は1,800万円です。金融庁の案内では、この限度額は買付け残高(簿価残高)で管理され、NISA口座の商品を売ると、その簿価の分の非課税枠を翌年以降に再び使えます。
値下がりした商品を売った場合も、戻るのは買ったときの金額(取得金額)の分です。枠が戻る決まりと損の扱いは別のもので、売った損が税金の計算に入るようになるわけではありません。
売るか迷ったら、口座と損の扱いを先に確かめる
NISA口座で出た損は税金の上ではないものとみなされ、ほかの口座の利益との損益通算も繰越控除もできません。特定口座や一般口座の上場株式等の譲渡損失を繰り越すなら、売却がなかった年も含めて続けて所得税の申告が必要です。売るかどうかを決める前に、その商品がどの口座にあるかを確かめておけば、思っていた税金の扱いとの食い違いを防げます。迷ったときは、国税庁が案内している税の相談窓口に相談できます。
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