相続税を土地で納める物納。分割でも払えない分が限度、申請は申告期限まで
親から土地を受け継いだものの、相続税を納めるだけの現金が手元になく、困っている方もいるでしょう。そんなときに名前が挙がるのが、相続した財産そのもので納める「物納」です。ただ、現金が足りないだけで選べる方法ではなく、物納できる額も、充てられる財産も、申請の期限も決まっています。物納が認められる条件と、申請までに確かめておきたいことを解説します。
物納に頼れるのは、金銭で納めきれない部分
国税庁の案内では、国税は金銭で納めるのが原則です。相続税に限り、延納(年賦で分けて納める方法)によっても金銭で納めることが難しい事情があるとき、その難しい金額を限度に、申請によって物納が認められます。令和7年度税制改正で、令和7年4月1日以後に相続が始まった分の申請からは、この限度額に、延納期間が終わった後の当面の生活費と事業経費を加える形に改められました。
ただし相続税法第41条は、財産の性質や形状から限度を超える価額の財産を収納することに、税務署長がやむを得ない事情があると認めるときは、限度を超えて物納を許可できると定めています。
充てる財産の順位と、受け付けられない土地
物納に充てられるのは、相続税の課税価格の計算の基礎になった相続財産のうち、国内にあるものです。後の順位の財産は、税務署長が特別の事情を認める場合か、先の順位に適当な価額の財産がない場合に限られます。相続時精算課税の適用を受けた財産は対象になりません。
表の財産でも、法令に違反して建てられた建物とその敷地のような物納劣後財産は、原則として、ほかに適当な財産がない場合に限って充てられます。国税庁の手引では、境界標の設置や実測、登記にかかる費用と、許可までの固定資産税などの維持管理費は申請者の負担です。
提出先と、許可が出るまでの流れ
物納申請書と物納手続関係書類は、被相続人の死亡時の住所地を所轄する税務署へ出します。国税庁の手引は、相続人の住所地の税務署ではない点に注意を促しています。期限内申告の申告期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内です。
物納手続関係書類がそろわないときは、延長の届出によって、その書類の提出期限を1回3か月まで、最長1年まで延ばせます。税務署長は原則として申請期限から3か月以内に許可か却下を決め、財産の状況によっては延びることもあります。国が受け取る価額は原則として課税価格の計算の基礎になった価額で、小規模宅地等の特例を受けた土地は特例を適用した後の価額です。
物納を考え始めたら、土地の状態を先に確かめる
物納は、現金でも分割でも納めきれない部分を補う手段で、充てる財産や期限の決まりが細かくあります。申告期限が迫ってから境界や担保の有無を調べ始めると、書類の準備が追いつかないこともあります。現金で納められる額と足りない額を書き出し、物納に充てたい土地の状態を確かめたうえで、早めに税務署へ手続きを相談してみてください。
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