800万円以下の空き家の仲介手数料。上限の特例は事前の説明と合意が前提
親から受け継いだ地方の空き家を売ろうと不動産会社に相談したところ、手数料の説明で「特例」という言葉が出てきて戸惑う人もいるでしょう。価格の低い物件の仲介手数料には、令和6年7月から原則とは別の上限が設けられています。ただし、原則を超える報酬を受け取るには、媒介契約の前に不動産会社が説明し、依頼者が合意していることが必要です。
仲介手数料は国の告示で上限が決まっている
売買の仲介で不動産会社(宅地建物取引業者)が受け取る報酬、いわゆる仲介手数料は、自由に決められるものではありません。宅地建物取引業法第46条にもとづく国土交通大臣の告示で額が定められ、その額を超えて報酬を受けてはならないとされています。原則の上限は、物件価格に応じた一定の料率で求めた金額を合計した額です。
見落としやすいのが、上限はあくまで受け取れる額の天井だという点です。国土交通省の通達(宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方)は、限度額を当然に請求できるものではなく、具体的な報酬額は媒介業務の内容などを考えて依頼者と協議して決める事項だとしています。
価格の低い物件に設けられた上限の特例
令和6年6月21日の告示の改正により、令和6年7月1日から「低廉な空家等」の特例が始まりました。売買代金(消費税等相当額を含まない額)が800万円以下の宅地や建物の売買の仲介では、仲介に要する費用を勘案して、原則の上限を超えて報酬を受け取れます。その場合も、消費税等相当額を含む報酬は30万円の1.1倍が上限です。
国土交通省の消費者向けの案内は、業務の負担に比べて収益が低かった空き家などの仲介に、不動産会社の参入を後押しする特例だと説明しています。名前に「空家」とありますが、通達は宅地や建物の使用の状態を問わないとしています。
特例の前提になる、契約前の説明と合意
通達によると、特例で原則の上限を超える報酬を受け取る場合、不動産会社は媒介契約を結ぶときにあらかじめ、上限の範囲内で報酬額を依頼者に説明し、合意しておく必要があります。消費者向けの案内も、原則の場合以上に契約前の合意が重要だとしています。
段取りとしては、まず媒介契約の前に、報酬の額と特例を使うかの説明を受けます。次に、媒介契約を結ぶと報酬に関する事項などを記した書面が渡される(承諾があれば電子的な方法も可)ので、説明どおりの額かを照らし合わせます。たとえば原則の計算より高い報酬を示されたら、特例を使う前提かを確かめる場面です。
売り先の探し方としては、自治体の空き家・空き地バンクも調べられます。
契約前の確かめが、納得できる売却への近道
価格の低い空き家の仲介には、令和6年7月から報酬の上限の特例があります。一方で、その報酬は媒介契約の前の説明と合意が前提で、上限の額をそのまま請求できるものでもありません。説明を受けたら書面の記載と照らし合わせ、気になる点はその場で尋ねておくと、親の家を落ち着いて手放す準備が整います。
兄弟に入院の保証人を頼まれたら。署名する前に「上限額」の欄を見ておく