兄弟に入院の保証人を頼まれたら。署名する前に「上限額」の欄を見ておく
入院を控えた兄から、病院の書類の保証人の欄に署名してほしいと頼まれることがあります。断りにくい一方で、何を背負うのか分からないまま名前を書くのは不安なものです。実は、金額の決まっていない支払いを個人がまとめて保証する契約には、上限額を定めないと効力が生じないという民法のルールがあります。署名の重さは、書類を一枚読むだけで見えてきます。
入院の書類で保証人が引き受けること
厚生労働省が令和元年6月に示した医療機関向けのガイドラインは、医療機関が「身元保証・身元引受等」に求める機能や役割として、入院費等や緊急の連絡先に関することなどを挙げています。署名する前に、入院費の支払いを引き受ける約束かどうかを見ておく必要があります。
同じガイドラインは、本人に判断能力があり入院費等を支払える場合は、原則として本人が支払うとしています。保証人は、本人が支払わないときに代わりに支払う責任を負う立場です。注意したいのが連帯保証人の欄で、法務省の案内では、本人に財産があるかどうかにかかわらず、債権者が保証人に支払いを求められる形とされています。
上限額(極度額)の定めがない個人の根保証は無効
入院費は、署名の時点では総額が分かりません。法務省の案内は、このように一定の範囲に属する不特定の債務を保証する契約を根保証契約と呼び、説明資料では介護・医療等の施設の入居者による各種債務の保証も、該当し得る例に挙げています。入院時の保証書も、入院費など将来発生する不特定の債務を個人が保証する内容であれば、個人根保証として扱われる可能性があります。
2020年4月1日施行の改正民法により、個人が根保証契約の保証人になるときは、上限となる極度額を定めなければ契約は効力を生じません。法務省のパンフレットも、定めずに結んだ契約は無効で保証人に支払いを求められないとしています。確かめたい点は次のとおりです。
たとえば極度額(上限額)の欄が見当たらない書類なら、病院の窓口で何をどこまで保証するのかを聞いておくと判断しやすくなります。
引き受けられないときも、入院の道は残る
断ったら兄が入院できなくなるのでは、と心配になるかもしれません。厚生労働省は平成30年4月27日の通知で、入院による治療が必要なのに、身元保証人等がいないことのみを理由に医師が入院を拒むことは、医師法第19条第1項に抵触するとしています。
先に触れたガイドラインは、身寄りがない人への支援として、一部負担金の減額・免除・支払猶予などの行政サービスへの相談を挙げています。引き受けられないときは、病院に事情を伝えて相談するよう兄に話してみる道もあります。
名前を書く前に、上限と範囲を確かめて
保証人を頼まれて迷うのは自然なことです。署名の前に、極度額(上限額)の欄に金額が書かれているか、何をまとめて保証するのかを確かめるだけでも、引き受ける重さははっきりします。難しいと感じたら、入院が必要な人を保証人がいないことのみを理由に拒むのは医師法に抵触するという厚生労働省の考え方を伝え、兄弟と一緒に病院へ相談してみてください。
管理料を払えないままのお墓。無縁として移されるまでには官報と1年の立札がある