農業をしない息子が田畑を相続。許可は要らないが、農業委員会への届出が要る
農業をしない息子が田畑を相続。許可は要らないが、農業委員会への届出が要る

親が耕していた田畑を、自分は耕さないまま受け継ぐことになったら。農地の売買には許可が要ると聞き、相続にも許可が要るのではと身構える人もいるでしょう。実は、相続で受け継ぐこと自体に許可は要りません。その代わり、農業委員会への届出という見落としやすい手続きがあります。届出の期限と、耕せないときの相談の仕方を解説します。

父の田畑を受け継ぐことになった50代の会社員の戸惑い

「農業をしないのに、田んぼを継いでいいのかな」。父を亡くした50代の会社員の男性は、実家に残る田畑の書類を前に、兄にそう打ち明けました。勤め先は実家から遠く、自分で耕すつもりはありません。農地は簡単には人に渡せないと聞いたことがあり、受け継ぐだけでも許可が要るのではと気になっていたのです。

兄と農業委員会の窓口を訪ねると、許可は要らないものの、届出が要ると説明を受けました。出す時期にも目安があると聞き、男性は早めに動くことにしました。

売買や貸し借りと違い、相続に許可が要らないわけ

農地法第3条は、農地の所有権を移したり、貸し借りの権利を設けたりするとき、当事者が農業委員会の許可を受けなければならないと定めています。農林水産省も、農地を売買・貸借する場合は原則として許可が必要で、許可を受けないでした行為は無効と案内しています。

一方で同じ第3条は、遺産の分割で権利が移る場合を、許可が要らない場合の一つに挙げています。農林水産省の処理基準も、相続による権利の取得を、許可では農業委員会が把握できない権利の移動とし、届出の対象に位置づけています。届出のチラシは、相続したものの地元を離れて管理できない人に向け、農業委員会が管理の相談や借り手探しを手伝うと呼びかけています。農業をしない人が受け継ぐ場面を見込んだ案内です。

なお、農地に当たるかどうかは登記簿の地目ではなく、その土地の現況で判断すると処理基準は定めています。田畑が今どう使われているかを確かめておくと安心です。

届出は遅滞なく、農地のある市町村の農業委員会へ

届出の義務を定めるのは農地法第3条の3です。相続などで農地の権利を取得した人は、遅滞なく、その農地のある市町村の農業委員会に届け出なければなりません。目安として、処理基準は権利を取得したことを知った時点からおおむね10か月以内とし、農林水産省のチラシも相続発生日からおおむね10か月以内の届出を求めています。

届出をしない人や、うその届出をした人は、10万円以下の過料に処すると農地法は定めています。この届出は法務局での相続登記とは別の手続きで、登記を済ませても届出は別に要ります。提出先の農業委員会が対応していれば、農地法第3条の3関係の手続きは令和8年10月1日からeMAFF申請2.0でオンライン申請できます。

農業をしない息子が田畑を相続。許可は要らないが、農業委員会への届出が要る

耕せない田畑こそ、届出を相談の入り口に

届出書の様式例には、農業委員会によるあっせん等を希望するかを書く欄があります。自分で耕せないなら、届出の際に借り手や買い手を探す相談をしてみましょう。まず農地のある市町村の農業委員会に相続したことを伝えれば、受け継いだ田畑の行き先を落ち着いて考えられます。

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情報提供元: マネーの達人
記事名:「 農業をしない息子が田畑を相続。許可は要らないが、農業委員会への届出が要る 」