投資信託の分配金、税金が引かれない分は「元本の払い戻し」。分かれ目は個別元本
毎月の分配金が振り込まれ、取引報告書の税金の欄を見て首をかしげたことはないでしょうか。同じ日に受け取った分配金でも、税金が差し引かれる分とそうでない分に分かれることがあります。分かれ目になるのは、基準価額とその人の個別元本の関係です。仕組みを知ったうえで、手元の報告書を確かめてみましょう。
取引報告書の税金の欄で手が止まった60代の男性
「分配金なのに、税金が引かれていない分があるのはなぜだろう」。退職後、持っている投資信託の分配金を毎月受け取る60代の男性は、販売会社から届いた取引報告書を見て手が止まりました。分配金の欄が二つに分かれ、一方からは税金が差し引かれているのに、もう一方は差し引かれていなかったのです。
記載の誤りを疑いましたが、同じ投資信託を持つ知人の報告書では分かれ方が違っていました。基準価額が買ったころより下がっていたことも思い出し、男性は自分がどの値段で買ったことになっているのかを知らないと気づきました。
分配金が出ると基準価額が下がる理由
金融庁の資料によると、分配金は決算のときに投資信託の収益などの一部を受益者に分けるものです。受益者自身の損益にかかわらず、投資信託に収益などがあれば支払われ、分配した分だけ基準価額は下がります。預貯金の利子とは性質が違う、というのが金融庁の注意書きです。
そのうえで金融庁は、分配金を投資家から見た中身で二つに分けています。
どちらになるかは個別元本との関係で決まる
二つの分かれ目になるのが個別元本です。金融庁の資料は、個別元本を個々の投資家が投資信託を購入した時の基準価額としています。金融庁の図解では、収益分配金のうち投資家にとって利益となる部分が普通分配金、元本の払い戻しとなる部分が元本払戻金と示されています。同じ投資信託の同じ日の分配金でも、買った時期によって分かれ方が違うことがあるのは、購入した時の基準価額である個別元本が投資家ごとに異なるためです。また、元本払戻金を受け取るたびに個別元本は減っていきます。
国税庁の手引では、オープン型の証券投資信託の分配金のうち、元本の払戻しに相当する部分として分配される特別分配金は非課税とされ、収益の分配には含まれないと示されています。一方、公社債投資信託および公募公社債等運用投資信託を除く投資信託の収益の分配は、国税庁の案内では配当所得にあたり、普通分配金はこちらに入ります。金融庁の資料(令和7年9月改訂)は、配当・分配金に通常かかる税率を20.315%(所得税・地方税・復興特別所得税の合計)としています。金融庁はNISAの口座で得た運用益を非課税と説明していますが、元本払戻金はもともと非課税の扱いです。
国税庁の案内では、令和9年1月1日以後に生ずる所得から復興特別所得税の税率が引き下げられ、防衛特別所得税が加わります。上場株式等の配当等については、合計税率に変更はないとされています。
報告書を手にしたら確かめたい内訳と個別元本
分配金の税金が気になったら、取引報告書などに普通分配金と元本払戻金の内訳が書かれていないかをまず見ます。次に、販売会社に問い合わせるなどして自分の個別元本を確かめます。分配金の多さだけで判断せず、基準価額の動きと合わせて見ることも欠かせません。税の扱いで迷ったときは、税務署に相談してみましょう。