台風で傷んだアパートの修理代。元に戻す分は修繕費、価値を高める分は資本的支出
台風で傷んだアパートの修理代。元に戻す分は修繕費、価値を高める分は資本的支出

台風が過ぎたあと、持っている賃貸アパートの外壁や雨どいの傷みに気づき、修理を頼む人もいるでしょう。工事代は不動産所得の必要経費になりますが、その年に経費にできる部分と、何年もかけて経費にする部分があります。国税庁の案内で分かれ目になるのは、傷んだところを元に戻すのか、価値を高めるのかという工事の中身です。

外壁と雨どいの修理を前に、経費の扱いで迷う60代の男性

「外壁と雨どいの修理代、全部まとめて今年の経費にしていいのかな」。小さな賃貸アパートを持つ60代の男性は、工事業者から届いた見積書を見ながら首をかしげました。強い風で外壁の一部がはがれ、雨どいも外れてしまったため、修理を頼んだところです。

見積書には、傷んだ部分を直す工事に加えて、この機会に外壁全体を以前より長持ちする塗料で塗り直す提案も入っていました。どこまでをその年の不動産所得の必要経費にできるのか、判断がつきません。

分かれ目は元に戻す修理か、価値を高める工事か

国税庁のタックスアンサーでは、貸付資産の修繕費は不動産所得の必要経費の一つです(No.1370)。ただし、修繕費と資本的支出の区別は、修繕や改良という名目ではなく実質で判定します(No.1379)。見積書の工事は、次のように分けて考えます。

台風で傷んだアパートの修理代。元に戻す分は修繕費、価値を高める分は資本的支出

資本的支出は、原則として、その建物と種類や耐用年数が同じ資産を新たに取得したものとして減価償却し、各年分の必要経費に入れていきます。

災害で被害を受けた建物について、被災前の効用を維持するために行う補強工事なども、修繕費として所得を計算し、申告していれば認められます。被害による損失として必要経費などに入れた金額は、修繕費から除きます。

金額や周期で判断できる修繕費の目安

所得税基本通達は、金額や周期の目安も順に示しています。まず、一つの計画で同じ建物に行う修理や改良などの金額が20万円未満のときや、おおむね3年以内の周期で行われることが明らかな修理などのときは、資本的支出に当たる内容でも、修繕費として所得を計算し、申告していれば認められます。

次に、資本的支出か修繕費か明らかでない金額があるときは、その金額が60万円未満か、建物の前年末の取得価額のおおむね10%相当額以下であれば、修繕費として扱うことが認められます。明らかでない金額がこれらに当たらないときも、区分の特例が設けられています。

20万円以上の工事でも、中身が元に戻す修理なら修繕費です。反対に、外壁を以前より長持ちする塗料で塗り直す工事は、耐久性を増す部分が資本的支出に当たる場合があります。

見積書の内訳を分けてもらうことが第一歩

迷ったときは、工事を頼む業者に、傷んだところを元に戻す部分と、性能や価値を上げる部分を分けて見積書に書いてもらいましょう。元に戻す修理の分は、支出した年の必要経費として扱えます。それでも判断がつかない工事は、税務署や税理士などの専門家に相談し、納得したうえで修理を進めてください。

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情報提供元: マネーの達人
記事名:「 台風で傷んだアパートの修理代。元に戻す分は修繕費、価値を高める分は資本的支出 」