自筆の遺言、法務局に預ける手数料は3,900円。申請は本人が出向く
遺言を書き終えたものの、どこにしまうかで手が止まる人は少なくありません。自宅の引き出しでは、なくしたり家族に見つけてもらえなかったりする心配が残ります。法務局に預ける道もありますが、申し込みは家族任せにできず、遺言を書いた本人が窓口へ出向くことが前提です。
遺言を書き終えた70代の夫が迷った、しまい場所
「書いたのはいいけれど、この封筒をどこに置いておけばいいんだろう」。70代の夫は、封筒を前に妻へこう切り出しました。しまい込めば見つけてもらえず、目につく場所では書き換えが気になります。妻も「見つからなければ、書いた意味がないですよね」と首をかしげました。
調べてたどり着いたのが、法務省が案内する自筆証書遺言書保管制度です。自分で書いた遺言を法務局(遺言書保管所)に預けられる仕組みで、法務省のよくある質問では令和2年7月10日に始まったと説明されています。気になったのは、申し込み方と費用、預けた後に何が変わるかです。
申し込みは予約をして本人が窓口へ
法務省の案内では、保管の申請ができるのは遺言者本人のみで、代理人による申請や郵送による申請はできません。本人が出向けないときは使えませんが、介助のための付添人の同伴は問題ないとされています。
申請先は、遺言者の住所地、本籍地、所有する不動産の所在地のいずれかを管轄する遺言書保管所から選びます。ただし、2通目以降、追加で保管を申請する場合は、最初に保管を申請した遺言書保管所に限られます。手続には予約が必須で、予約も本人が取ります。当日は遺言書、保管申請書、住民票の写し等、顔写真付きの身分証明書、手数料分の収入印紙を持っていきます。
遺言書の様式にも決まりがあり、A4サイズの用紙の片面だけに書き、決められた余白を空け、ホチキスでとじず封筒にも入れません。令和8年3月2日公布・施行の省令改正で、遺言書が1枚の場合はページ番号の記載が不要になり、申請書などの記名欄も削られました。
預けると変わること、変わらないこと
申請時には、遺言書保管官が民法の定める自筆証書遺言の形式に合うかを外形的に確認します。ただし内容の相談には応じず、法務省は本制度が保管された遺言書の有効性を保証するものではないと明記しています。
遺言書は原本に加えて画像データでも管理され、紛失や改ざんなどを防げると案内されています。表のとおり、保管された遺言書は家庭裁判所での検認が要りません。
遺言者が亡くなった後、相続人等の誰かが遺言書を閲覧したり遺言書情報証明書を受け取ったりすると、ほかの相続人等にも保管されている旨が届きます。遺言者が希望すれば、指定した人(3名まで)へ死亡の確認時に知らせる指定者通知も使えます。
しまい場所の答えは段取りで決まる
法務局に預けるなら、様式どおりに書き、申請先を選んで予約し、本人が手数料を持って出向く流れになります。預けても内容の有効性まで保証されるわけではないため、書き方に迷えば弁護士などの専門家へ相談を。通知を受ける人を決めておくことが、遺言を家族へ確実に届ける近道になります。
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