相続した土地を隣と交換したら所得税は? 条件がそろえば譲渡はなかったことに
親から相続した土地の境目が入り組み、隣の人から一部を交換しようと持ちかけられることがあります。お金を受け取らなくても、交換は土地の譲渡にあたり、所得税がかかる場合があります。一方で、1年以上の所有や同じ用途など条件がそろえば、譲渡がなかったものとされる特例もあります。返事をする前に、条件と申告の流れを確かめておきましょう。
隣から土地の一部交換を持ちかけられた50代会社員の迷い
「交換すれば両方の土地の形が整うと言われたけれど、税金はかかるのでしょうか。」親から相続した土地が隣の土地と入り組んでいる50代の会社員は、隣の人から互いの一部を交換する話を持ちかけられました。境目がまっすぐになれば、どちらの土地も使いやすくなります。
迷ったのは、お金を払わない交換でも税金がかかるのか、値打ちに差があるときはどうなるのか、相続して日が浅い土地でも条件を満たすのか、という点でした。
交換も譲渡にあたる。要件がそろえば使える特例
国税庁の案内では、譲渡には通常の売買のほか交換も含まれ、お金のやり取りがなくても譲渡所得として所得税の対象になりえます。そこで確かめたいのが、所得税法第58条の固定資産の交換の特例です。個人が土地などの固定資産を同じ種類の固定資産と交換したときは、要件を満たせば譲渡がなかったものとされます。
国税庁のタックスアンサー(令和8年4月1日現在法令等)が挙げる要件は、次の表のとおりです。
差額のお金、相続した土地の所有期間、申告の決まり
注意したいのが差額の扱いです。交換に伴って相手から金銭などの交換差金を受け取ると、その分は譲渡所得として所得税の課税対象になります。さらに、交換差金の額が高いほうの価額の20%を超えると、交換した資産全体について特例を受けられません。交換特例の適用上の資産価額は、当事者で合意した価額が交換の事情に照らして合理的に算定されていると認められれば、その合意価額によるとされています(所得税基本通達)。
相続して日が浅い土地も、あきらめるのは早いかもしれません。所得税基本通達では、相続(限定承認に係るものを除く)で取得した土地などは、1年以上かどうかを引き続き所有していたものとして判定するとしています(所得税法第60条第1項)。
特例を受けるには、交換した年分の所得税の申告で、特例を受ける旨や、手放した土地と取得した土地の価額などを申告書に書き、譲渡所得の内訳書を添えて出すことが必要です。また、交換で取得した土地を将来売るときは、取得価額が特例により引き継がれる金額になる点も覚えておきましょう。
返事をする前に、時価と所有期間と使い道を確かめる
まず交換するそれぞれの土地の時価と使い道を確かめ、自分と相手の所有期間も確認しましょう。差額をお金で埋めると、受け取った分は課税の対象になります。交換した年分の所得税の申告も忘れずに行いましょう。判断に迷うときは、所轄の税務署に相談すると安心です。
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