母の着物を出張買取に。頼んでいない貴金属は断れて、法定書面を受け取った日から数えて8日以内は品物を渡さなくていい
母が残した着物を、出張買取で見てもらおうか。そう考えて電話をかけた途端、「ほかに貴金属はありませんか」と聞かれて戸惑う人がいます。国民生活センターにも、不用品や着物だけを売るつもりが貴金属まで買い取られたという相談が寄せられています。自宅に来てもらう買い取りには特定商取引法の決まりがあります。呼ぶ前に、売る品目と断ってよい場面を家族で確かめておきましょう。
実家の着物を片付け始めた50代の女性が、買取の電話で迷ったこと
「着物を見てもらうだけのつもりが、電話で最初に聞かれたのは指輪やネックレスのことでした」。母を見送った後、実家の片付けを始めた50代の女性はそう振り返ります。たんすには訪問着や帯が何枚も残っていました。兄弟と相談して残す着物と手放す着物を先に分け、出張買取を頼もうとしたところでした。
「貴金属も見せないといけないのか分からず、その場では日取りを決めませんでした」。同じ型の相談は公的機関にも届いています。消費者庁の特定商取引法ガイドは、着物の買い取りに来た事業者が貴金属の買い取りも執拗に求めた相談を、訪問購入の事例として載せています。国民生活センターも2023年9月27日の発表で、不要な皿を売るつもりが貴金属まで無理やり手放させられた事例を挙げています。
自宅での買い取りは訪問購入。呼ぶ前と来たときに効く決まり
事業者が自宅など店舗以外の場所で契約して物品を買い取る取引を、特定商取引法は訪問購入と定めています。家具や書籍、有価証券など政令で列挙された物品は対象から除かれます。
気をつけたいのが、頼んだ品目の外に話が広がる場面です。査定を頼まれただけなのに、勧誘することは法に抵触するとされています。国民生活センターは、事前に業者の名称と買い取ってもらう物品を確かめ、頼んでいない貴金属まで売るよう求められたら、はっきり断るよう呼びかけています。
契約したら書面を確かめる。法定書面を受け取った日から数えて8日以内は手元に置ける
契約の申し込みや締結のとき、事業者は物品の種類や購入価格などを書いた書面を渡さなければなりません。クーリング・オフの期間は、申込書面か契約書面の早いほうを受け取った日から数えます。書面の記載に不備があるときは、期間を過ぎてもクーリング・オフできる場合があります。
クーリング・オフは、書面(はがき可)か電磁的記録で通知します。品物を渡していれば返してもらい、受け取った売却金額は返します。
手放す着物は家族で決めてから、業者を呼ぶ
売るか残すかは、家族で話し合ってから決めても遅くありません。出張買取を頼むときは見てほしい着物だけを伝え、頼んでいない品物の売却を迫られたら断りましょう。書面を受け取ったら品目と価格を確かめ、期間内は品物を手元に置けます。迷ったときは、お住まいの地域の消費生活センターへ相談できます。
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