「30円だって~、安いよね」ファミマの野菜に娘と即決 その安さの理由と、食品ロスのいま
実家近くの都内のファミリーマートで買った野菜が、たったの30円。Threadsに載ったその値段は、思わず二度見する安さでした。投稿したFLORA(@flora__910)さんは、値札を見た瞬間に娘さんと迷わず買うことを決めたといいます。編集部が取材し公的データで背景をたどると、30円は野菜が安い時期だからではありませんでした。
実家近くのファミマで、30円の野菜を娘と即決
FLORAさんが立ち寄ったのは、実家の近く、都内にあるファミリーマートでした。棚に並んでいたのは、30円の値札が付いたチンゲン菜と小松菜。葉物野菜が2品とも30円という数字に、思わず目を奪われたといいます。
値段を見て、FLORAさんは隣にいた娘さんに声をかけ、あまりの安さに親子で顔を見合わせ、購入を決めたそうです。
この日、カゴに入れたのは全部で5点。その金額は5点で494円でした。一緒に選んだ品物の中には特売品ではないピーマンも入っていました。安い商品だけでなく、必要なものを購入する、“普段の買い物”の延長でした。
持ち帰った野菜は、その日のうちに食卓へ。じゃがいもはグリル焼き、チンゲン菜は厚揚げの煮物、ピーマンは炒め物にし、小松菜は翌日の味噌汁に使ったそうです。30円という破格な値段にもかかわらず、大きな傷みなどはなく、次々と食卓に並ぶ料理に姿を変えていきました。
そして、この時に購入したチンゲン菜の根本は鉢植えに植えて、リボーンベジタブルとしても楽しまれたようです。
そもそも、いまの野菜の値段はどうなっているのか
30円が安く感じられるのは、最近の気象の影響などで一部の野菜の価格が高騰してきている背景や、相次ぐ物価高によるものだと思います。では、いまの野菜の価格はどんな状況なのでしょうか。
農林水産省が2026年6月から8月末に発表している野菜の価格見通しによると、7月前半は、6月までの曇天や雨天による生育不良の影響を受け、きゅうりやトマト、ピーマン、じゃがいもが高騰したほか、ブロッコリーも需要の高さから月を通して平年を上回る高値で推移しました。しかし7月後半に入ると、気温の上昇や後続産地からの出荷増加によって、夏野菜を中心に多くの品目で価格が平年並みへと回復しました。
つまり、いまは野菜が全体として極端に安い時期ではありません。葉物野菜が2品とも30円というのは、こうした市場全体の値動きだけでは説明のつかない安さだといえます。
30円の理由は商品の入れ替えに伴う値引きだった
ではなぜ30円という値段が実現したのでしょうか。その理由は商品の入れ替えに伴う値引きでした。「商品入替価格」と、値札に記載がありました。
FLORAさんは、この店には実家が近いとはいえ普段はほとんど行かないため、安い野菜が出る曜日や時間帯まではよくわからないといいます。その日ほかにどんな野菜が並んでいたかも、覚えていないとのこと。つまり30円は、狙って買いに行った特売というより、たまたま立ち寄って出会った値引き品でした。
野菜そのものの相場が下がったのではなく、その2品が入れ替えのタイミングで値下げされていた。30円という数字の背景には、売り場で日々起きている、売り切るための工夫がありました。
値引き品を活かす買い方と、食品ロス461万トン
売れ残りそうな食品を値引きして売り切ることは、家計にうれしいだけでなく、食品ロスを減らすことにもつながります。
農林水産省と環境省が2026年6月に公表した推計によると、2024年度に国内で発生した食品ロスは461万トンでした。内訳は、家庭から出る家庭系が224万トン、飲食店や小売店などから出る事業系が237万トンです。国は2000年度と比べて、家庭系で50%、事業系で60%減らす目標を掲げています。
店頭での値引きや見切り販売は、この事業系のロスを抑える取り組みの一つです。買う側にとっても、値引き品を上手に使えば食費の節約になります。FLORAさん自身、半額や値引きの品を買って冷凍できるものは冷凍したり、家庭菜園で野菜を育てたり、夫の弁当を作ったりして、普段から食費を抑える工夫を重ねているそうです。
値引き品の野菜が教えてくれること
大きな傷みもない値引き品の野菜、値引き商品を上手に取り入れて活用することは、家計にも食品ロスの削減にもつながります。
取材の締めくくりに、FLORAさんは「安いと共感していただき、嬉しかったです」と振り返ります。特別な節約術ではなく、店先の値引きに素直に手を伸ばし、必要なものと一緒に持ち帰って使い切る。その積み重ねが、無理のない範囲で家計と食卓を支えているのでしょう。