親の遺産は預金だけ。協議書がなくても銀行の手続きは進むが、作った方がよい分け方がある
親の遺産は預金だけ。協議書がなくても銀行の手続きは進むが、作った方がよい分け方がある

秋の彼岸に兄弟がそろい、亡くなった親の預金の分け方が話題になることがあります。遺産が預金だけなら、遺産分割協議書まで作らなくても銀行の用紙で済むのでしょうか。全国銀行協会の案内と民法の条文をもとに、協議書がなくても進む場面と、作った方がよい分け方を解説します。

父を見送り、兄と預金の分け方を話し始めた40代の会社員

「父の遺産は預金だけです。兄と半分ずつにしたいのですが、遺産分割協議書を作らないと銀行が払い戻してくれないのでしょうか。」父を見送った40代の会社員は、実家で兄とそう話していました。口座は複数の銀行にあります。

銀行に相続の連絡をすると、口座での入出金は原則として制限され、手続きの案内を受けます。気になるのは協議書の要否です。

協議書があるときとないときで変わる銀行への提出書類

全国銀行協会の案内では、銀行に出す書類は遺言書や遺産分割協議書の有無で分かれています。協議書がない場合でも、被相続人の除籍謄本、戸籍謄本または全部事項証明書(出生から死亡までの連続したもの)と、相続人全員の戸籍謄本または全部事項証明書、相続人全員の印鑑証明書をそろえ、銀行所定の相続手続書類に依頼内容を書いて相続人が署名捺印すれば、銀行で払戻しなどの手続きが行われます。ただし相続の方法や内容、取引金融機関によって必要な書類が異なる場合があるので、先に取引銀行へ確かめるのが出発点です。

分け方そのものは、民法第九百七条が、遺言で分割が禁じられた場合などを除き、共同相続人はその協議で遺産の全部または一部の分割をすることができると定めています。協議で決めた分割は、民法第九百九条により相続開始の時にさかのぼって効力を生じます。ただし、同条には第三者の権利を害することはできないというただし書きもあります。協議書はこの協議を書面に残したものです。

協議書を作った方が動きやすい分け方と書き方

ひとつの口座をひとりが相続するだけなら、協議書がない場合の書類と銀行の用紙で足りることがあります。複数の口座を別々の相続人が取る、割合で分けるといった分け方では、誰がどの口座をどれだけ取得するかを協議書に残しておくと、後から言った言わないになりにくくなります。

親の遺産は預金だけ。協議書がなくても銀行の手続きは進むが、作った方がよい分け方がある

協議書には、亡くなった人と相続開始の日、相続人全員、誰がどの口座を取るか、割合で分けるならその割合、協議の日付を書き、全員が署名捺印します。相続登記や、配偶者の税額軽減など押印(実印)と印鑑証明書が必要な相続税の特例申告にも使う協議書として作るなら、全員が印鑑証明書と同じ印(実印)を押します。預貯金は銀行名・支店名(ゆうちょ銀行の場合は不要)・預金または貯金の種類・口座番号または記号番号・残高で特定します(福島家庭裁判所の遺産目録の記載例と同じ項目です)。

相続税の申告で配偶者の税額軽減を受けるときも、財産の取得状況を証する書類として遺産分割協議書等を添付する場合は、その相続に係る全ての共同相続人等の押印(実印)があるものの写しと、その押印に係る印鑑証明書を添えます(国税庁)。

銀行に聞いてから分け方を決め、書面に残す

まず取引銀行に相続の連絡をして、所定の用紙で足りるか、協議書が要るかを確かめます。次に兄弟で分け方を決め、複数の口座を分けるなら協議書に口座と取得者を書いて全員が署名捺印し、銀行所定の用紙や協議書への押印方法は取引銀行に確認します。必要な戸籍関係書類と印鑑証明書をそろえて出せば払戻しに進めます。迷ったら司法書士などの専門家に相談しましょう。

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情報提供元: マネーの達人
記事名:「 親の遺産は預金だけ。協議書がなくても銀行の手続きは進むが、作った方がよい分け方がある 」