「富裕層が増えた」と聞いて焦る前に。国税庁の統計で「お金持ち」は何人いるのか
「富裕層が増えた」と聞いて焦る前に。国税庁の統計で「お金持ち」は何人いるのか

「富裕層が増えている」という見出しを目にするたび、自分との距離を感じる人は少なくありません。ただ、その数字の多くは民間の推計で、母数も物差しもまちまちです。国税庁の統計で数え直すと、お金持ちの人数は母数の決め方ひとつで大きく変わります。見出しの数字は、母数を確かめてから読むのが正解です。

富裕層が増えたというニュースに距離を感じた30代会社員の場面

「また富裕層が増えたって。何万世帯もいるなんて、自分とは別の世界の話ですよね。」都内の会社に勤める30代の会社員は、通勤中に見た経済ニュースの見出しが頭から離れません。給料は上がっているのに、周りが先に豊かになっていく気がします。そもそも「富裕層」は、誰が何を基準に数えているのでしょうか。

国税庁の標本調査で「お金持ち」を人数から数える

国税庁が毎年公表する「申告所得税標本調査」は、所得税を申告した人を所得の階級ごとに数えた統計です。令和6年分の申告納税者は516万人で、このうち合計所得金額が1億円を超える人は3万2千人です。所得が1,000万円を超える人まで広げると104万人で、申告納税者全体の20.2%を占めます。1億円超の人数は、平成26年分には1万5千人でした。

母数に注意が要ります。この統計の母数は、令和7年3月31日までに申告や処理がされた人のうち、令和7年6月30日の時点で申告のうえ納める所得税がある人です。所得があっても納める税がない人、たとえば還付の申告をした人は除かれています。年末調整だけで終わり、申告をしていない人は、原則としてこの母数に入りません。令和6年分は申告納税者が前年より153万人減っているので、割合は母数の動きとあわせて読みます。

「富裕層が増えた」と聞いて焦る前に。国税庁の統計で「お金持ち」は何人いるのか

給与だけで見ると、母数も線も別の統計になる

会社員の実感に近いのは、同じ国税庁の「民間給与実態統計調査」です。こちらは民間の事業所に勤める給与所得者が対象で、所得税を納めているかどうかは問いません。令和6年分に1年を通じて勤務した給与所得者は5,137万人、このうち年間の給与が2,500万円を超える人は17万4千人です。母数が違うので、申告納税者の統計と足し合わせずに読みます。

一方、「富裕層は何万世帯」という民間の推計、たとえば野村総合研究所の公表値は、世帯が持つ純金融資産の額で階層を分けたものです。国税庁の2つの統計は個人の所得や給与を数えたもので、資産の推計とは母数も物差しも違います。見出しの数字は、まず「資産の推計か、所得の統計か」、次に「母数は世帯か、申告納税者か、給与所得者か」を分けて読みます。

数字を見たら、まず母数を確かめる

国税庁の統計で数えると、所得1億円超は申告納税者516万人のうちの3万2千人です。自分との距離を測るなら、どの母数の中のどの線かを見てから。数字に振り回されない読み方が、家計の落ち着きにつながります。

マイナンバーカードの有効期限通知書が届いた。カード本体の更新は申請してから、本人が窓口で受け取る

「40代の平均貯蓄」に焦る前に。中央値と「持たない世帯の割合」で自分の位置を見る

頼れる家族がいない。孤独・孤立対策推進法で決まった相談の入り口

情報提供元: マネーの達人
記事名:「 「富裕層が増えた」と聞いて焦る前に。国税庁の統計で「お金持ち」は何人いるのか 」