実家がゴミ屋敷に。役所に相談しても、親がいきなり怒られるわけではない
離れて暮らす親の家が物であふれていたと、近所からの苦情で初めて知る人は少なくありません。役所に相談すると親が責められるのではと、ためらいがちです。しかし京都市や横浜市のように、支援を基本に置き、強制的な撤去を最後の段階にした条例を持つ自治体もあります。行政がどこまで動けるかは、実家のある市区町村の条例の有無と中身で変わります。
70代の親の家に近所から苦情が届いた、40代の迷い
「役所に相談したら、うちの親が怒られるんじゃないかと思って。」実家から離れて暮らす40代の会社員は、近所からの電話を受けてそう迷ったといいます。70代の親がひとりで住む家は、玄関先まで袋や紙の束が積み上がり、庭にも物がはみ出していました。においと火の心配があると言われ、相談すれば何が起きるのか分からず、まず自分で片付けに向かいました。
親は「まだ使う」と譲らず、片付けは進みません。本人が片付けられなくなっているのは分かっても、遠くから通える回数には限りがあります。役所に知らせれば強制的に撤去され、親が責められるのではないか。その不安が相談を先延ばしにしていました。
行政が動く根拠は、実家のある市区町村の条例
環境省が全国の市区町村に行った調査(令和6年11月末時点)では、直近5年度にゴミ屋敷の事案を認知している市区町村は672ありました。対応を目的とした条例等を制定済みの市区町村は90にとどまります。
空家等対策の推進に関する特別措置法(空家法)が定める「空家等」は、建築物などで居住その他の使用がなされていないことが常態であるものと、その敷地です(2条1項)。親が住んでいる建物は当たりません。ただし、同じ敷地にある使っていない別棟や、親が転居して家を使わなくなった後は当たりえます。横浜市は条例の案内で、人が住んでいない家屋は対象外と答えています。
条例のある3つの自治体で見る、支援から代執行までの段階
3つとも相談と支援に始まり、指導・勧告、命令を経て、最後が行政代執行法に基づく代執行です。京都市の条例は、解消はできる限り本人が行い、支援を基本に措置を組み合わせると定めています(3条・10条)。横浜市は命令や代執行の前に審議会の意見を聴くことを義務づけ(8条2項・9条2項)、足立区も命令・代執行・支援の前に審議会の意見を聴きます(7条・9条・11条)。
環境省の調査では、条例のある市区町村で直近5年に行われた措置は調査と助言・指導が大半で、代執行は4件でした。強制的な撤去は制度上の最後の段階です。
相談の入口は、実家のある市区町村の担当課
相談先は、条例の所管が自治体で違うため市区町村の窓口です。京都市は各区役所・支所の地域力推進室、横浜市は各区の福祉保健課、足立区は生活環境保全課が個別の相談を受けます。条例の有無と段階を先に知っておけば、親を責めずに動けます。まず実家のある市区町村に担当課を聞くところから始めてみましょう。
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