「フルコンボで1日700円稼げるんだよー!」自宅バイト表が9.7万表示 母の家事負担が7割減、子どもに響いた意外な「報酬」
「フルコンボで1日700円稼げるんだよー!」自宅バイト表が9.7万表示 母の家事負担が7割減、子どもに響いた意外な「報酬」

夏休みのある日、母親が1枚の紙を食卓に置きました。手書きの「メニュー表」には、食器洗いが100円、トイレそうじが50円と値段が並びます。全部やれば1日700円という投稿は9.7万回表示されました。編集部が取材すると、家事は7割減った一方、子どもに一番効いたのはお金ではありませんでした。

「フルコンボで1日700円稼げるんだよー!」自宅バイト表が9.7万表示 母の家事負担が7割減、子どもに響いた意外な「報酬」

「声かけさえちょっと面倒」から生まれた自宅バイト表

投稿したのは、Threadsユーザーの都築あい(@tmnet.2022com)さんです。中学1年と小学6年、小学4年の3人兄弟を育てながら、在宅で働いています。7月下旬の投稿には、1900を超えるいいねと130件のコメントが集まりました。

きっかけを、都築さんはこう振り返ります。

「日頃から、もともと報酬型でピンポイントで『トイレ掃除誰か100円で頑張らない?』といった声かけをしていたのですが、その声かけさえちょっと面倒になってきたからです(笑)」

自主的に手伝ってもらう方法はないか。そこに夏休みが重なりました。

「夏休みにゴロゴロする子供たち3人が家事してくれたら、私はもっと仕事に集中できる!と考え『夏休みは子供たちにとって稼ぎ時シーズン!』と盛り上げたくて、一覧表にしました」

単価の付け方には、3人分の性格が織り込まれています。音楽を聴きながらできる食器洗いが好き、トイレ掃除が得意、夏は泡遊びを兼ねたお風呂掃除が楽しい。その好き嫌いを見たうえで「全体的に報酬が均等になるよう、取り合いにならないよう項目を決めました」。

「フルコンボで1日700円目安は、『全部頑張れば1時間で終わる作業だから、時給700円として依頼するなら財布に痛くないな』と思った私のドケチ思考からです(笑)」

投稿では「兄妹でお手伝いの取り合いを予想」とありましたが、実際は少し違ったそうです。「『私、今日コレやる!』と先に話し合いするようになり、私が介入せずとも分担してくれる場面が増えました」。争奪戦は「日を追うごとになくなりました」。1000円貯めるとしばらく休む子もいて、性格が出ると話します。

女性の家事関連時間は1日3時間24分

投稿の結びにある「私は家事を減らす夏休み。」に反応が集まった背景には、家事がいまも女性に偏っている実態があります。

総務省統計局の令和3年社会生活基本調査(2021年10月調査・2022年8月31日公表)によると、家事関連時間は週全体の平均で女性が3時間24分、男性が51分でした。男女の差は2時間33分です。20年前と比べると男性は20分増え、女性は10分減って差は30分縮まりましたが、依然として2時間半の開きがあります。

ここでいう家事関連時間は、「家事」「介護・看護」「育児」「買い物」を合わせた時間で、料理や掃除だけでなく買い出しや子どもの世話まで含みます。

夏休みは学校給食が止まって昼食の用意が1食増え、子どもが家にいる時間も長くなります。もともと積み上がった時間の上に夏休み分が乗る。「家事を減らす夏休み」に共感が集まった理由が、この数字から見えてきます。

2015年度調査では、お小遣いをもらっている中学生の1か月額は2000円が真ん中

では「月1500円のお小遣い貰えるより稼げる」は、家庭の相場から見て特別な水準なのでしょうか。

金融広報中央委員会の「子どものくらしとお金に関する調査(第3回)」(2015年度)では、お小遣いをもらっている中学生の1か月のお小遣い額は平均2536円、中央値2000円、最も多い回答は1000円でした。1500円という金額は、この分布のなかでは珍しくない位置にあります。

同じ調査で、定期的にお小遣いをもらっている中学生のうち、家の仕事をすることがお小遣いをもらう前提条件になっていると答えた割合は14.9%。「何の前提条件もない」の74.2%を大きく下回ります。お小遣いをもらっている中学生のうち、ふだんのお小遣いとは別に「家の手伝いをしたとき」にお金をもらうのは17.8%でした。

一方、お小遣いをもらっている小学生のうち、「お手伝いをしたとき」にお小遣いをもらうことがあると答えたのは、小学5・6年生で40.7%、小学3・4年生で47.9%。年齢が下がるほど、手伝いとお金が結び付いている家庭が多くなります。

都築さんの家の設計は、お小遣いをもらっている小学生で多い手伝いへの支払いを、金額と条件を明示して3人に広げたものだと読めます。1日700円は表の全項目をこなした場合の1日あたりの合計であり、1人あたりの取り分でも、毎日必ず発生する金額でもありません。

取り合いが消えても表が回り続けた3つの工夫

コメントには「単価高い」という声も並びましたが、表には値段以外の仕掛けがあります。

好き嫌いで割り振る

3人が別々の家事を得意としているため、同じ仕事の奪い合いになりにくい設計です。均等な報酬にしたのも、取り合いを避けるためでした。

条件をカッコ書きにする

表の「食器洗い」には「ごはん後すぐ」という但し書きが付いています。コメント欄でも反応が集まった一行です。いつやるかを書かないと、シンクに食器が残ったまま時間が過ぎる。作業の中身ではなく、タイミングを条件にしています。

汚れ具合で単価を上げる

基本は時間がかからないものが50円、少し手間がかかるものが100円。そのうえで「皿洗いは鍋が2つあるとき、トイレやお風呂は汚れが多いとき、などは都度100円に値上げ」しています。固定価格ではなく、作業量に応じて動く仕組みです。

家事負担は、都築さんの実感で「7割は軽減されています」。食器洗いは「2週間で3回くらいしか私はしていません」。

想定外だったのは、品質のチェック役が増えたことでした。親のチェックが甘いと、子どもたち同士が互いの仕事を見るようになったそうです。食器の汚れが落ちていない、トイレの床は拭いたのか。けんかではなく、母親のチェックの甘さを指摘するトーンだといいます。

もっとも万能ではありません。家族からの臨時のお金が入ると3人とも稼ぐ意欲が減り、50円の仕事が後回しになる日もあるそうです。

子供のお金の使い方にも変化!チリツモでもお金を得る意味

子どもの買い方も変わりました。欲しい自転車のために「1日200円ずつ貯める!そしたら10月には私専用の自転車が買える!」と電卓をたたいて宣言した子がいます。買い物先も、近くのコンビニから、少し離れた100円ショップや割引クーポンが使える店に変わりました。

夏まつりでは「ここの焼きそばは、500円出してまで食べたいものじゃない」と考え、焼きそばを買わずに200円のかき氷を選んだそうです。自分が稼いだお金だから、値段と食べたさを並べて考える。投稿にあった「チリツモを学ぶ夏休み」は、こういう形で表れました。

お小遣い収入よりもうれしい 母からの「ありがと」

都築さんが「想定外」と語ったのは、お金以外で返ってきた反応でした。排水溝の髪の毛や椅子の裏まで掃除した子に「契約通り50円でいいからとりあえず褒めて」と言われ、返した一言が思わぬ効き目を持ちました。

「『そこに気づいてくれたんだ!ママ全然できてなかったわー!ありがと』の私の一言が、お小遣いに勝るのね」

家庭の仕事に値段を付けることには賛否があり、投稿にも「やって当たり前」という声が寄せられました。それでも金額と条件を紙に書いたことで、誰が何をどこまでやるかが家族の話題になりました。値段は入り口で、続けさせたのは値段ではなかったのかもしれません。

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情報提供元: マネーの達人
記事名:「 「フルコンボで1日700円稼げるんだよー!」自宅バイト表が9.7万表示 母の家事負担が7割減、子どもに響いた意外な「報酬」