別居中の生活費は請求できる。決めるのは夫婦、決まらなければ家庭裁判所
別居中の生活費は請求できる。決めるのは夫婦、決まらなければ家庭裁判所

夫婦の関係が行き詰まり、いったん距離を置きたいと思うことがあります。そこで足が止まるのが、お金のことです。家を出たあと、収入の少ない側の生活はどうなるのか。ここで知っておきたいのは、住まいを分けても夫婦の間の分担の義務は消えないということです。

家を出ることを考え始めた40代の会社員が、最初に立ち止まったところ

「このまま一緒に暮らすのは難しい、と思っているんです。」都内で働く40代の会社員は、そう言ったあとで少し黙りました。気持ちの整理はついているものの、住むところを分けたあとの家計がどうなるのか分からず、切り出せないままだといいます。

同じところで止まる人は少なくありません。出ていったほうが不利になるのではないか、という不安です。ここは法律の定めを先に見たほうが早く進みます。

生活費の分担は、同じ家に住んでいるかどうかで切れない

民法760条は「夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する」と定めています。ここで挙げられているのは資産と収入と一切の事情で、同居しているかどうかは条件になっていません。婚姻が続いている間の生活費を分け合う義務、という組み立てです。

裁判所も、婚姻費用を「夫婦や未成熟子の生活費などの婚姻生活を維持するために必要な一切の費用」と説明しています。子どもと暮らす側の生活費だけでなく、子どもにかかる費用もここに含まれる、という読み方になります。

ただし、条文が定めているのは考慮する事柄までで、いくら渡すかは書かれていません。額は夫婦の収入や子どもの人数といった事情で変わるので、「別居すれば必ずいくらもらえる」と決まっているわけではない点は押さえておきたいところです。

話し合いで決まらないときは、家庭裁判所に調停を申し立てる

当事者だけで決まらない場合や、話し合い自体ができない場合には、家庭裁判所に婚姻費用の分担請求調停を申し立てます。申立てができるのは夫と妻です。

申立先は、相手方の住所地の家庭裁判所か、夫婦が合意で決めた家庭裁判所です。費用は収入印紙1200円分と連絡用の郵便切手で、郵便料は裁判所ごとに異なります。用意するのは申立書とその写し1通、夫婦の戸籍謄本、申立人の収入関係の資料(源泉徴収票や給与明細、確定申告書等の写し)、事情説明書、進行に関する照会回答書です。

調停では双方から事情を聴き、必要な資料を出してもらったうえで、合意を目指して話し合いが進みます。調停で合意した婚姻費用について、当事者は法的な支払義務を負います。まとまらなければ審判の手続に移り、裁判官が一切の事情を考慮して判断します。金銭の支払いを命じる審判は、執行力のある債務名義と同じ効力を持つと定められています。

別居中の生活費は請求できる。決めるのは夫婦、決まらなければ家庭裁判所

決まったのに払われないときに残っている手

家庭裁判所で決めた調停や審判などの取決めを守らない人に対して、取決めの手続をした家庭裁判所に履行勧告の申出をすると、家庭裁判所は、必要な調査を行ったうえで、相手に取決めを守るよう勧告します。ただし対象は「家庭裁判所の調停・審判・人事訴訟で定められた事項」で、夫婦の間の口約束や公正証書などで当事者間で合意したものは含まれません。履行勧告の手続に費用はかかりませんが、勧告に応じない場合に履行を強制することはできません。話し合いでまとまったときほど、後から動ける形に残しておく意味があります。これから婚姻費用の分担を求める場合は、まずは収入の資料をそろえて、家庭裁判所に手続の相談をしてみてください。

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情報提供元: マネーの達人
記事名:「 別居中の生活費は請求できる。決めるのは夫婦、決まらなければ家庭裁判所