保証人がいないと入院できない、は誤り。病院が本当に求めているもの
保証人がいないと入院できない、は誤り。病院が本当に求めているもの

入院の書類で身元保証人の欄に手が止まる人がいます。頼める家族が近くにいなければ、それだけで断られるのではないか。ですが国は、身元保証人がいないことのみを理由にした入院拒否は医師法に抵触すると整理しています。大事なのは、あの欄で病院が何を確かめたいのかです。

ひとり暮らしのまま入院を勧められた人がつまずくところ

「保証人の欄を、誰の名前で埋めればいいのか分からないんです。」ひとり暮らしで、いまも働いている70代の言葉です。こうした声は少なくありません。

厚生労働省は平成30年4月27日の通知(医政医発0427第2号)で、入院による加療が必要なのに、身元保証人がいないことのみを理由に医師が入院を拒否することは、医師法第19条第1項に抵触すると示しました。この通知は同省の「身寄りがない人への対応について」に今も載っています。

お金の面も同じです。令和元年12月の応招義務の通知は、保険未加入など医療費の支払い能力が不確定であることのみを理由に診療しないことは正当化されない、と整理しています。

病院が身元保証人に期待している6つの役割

では、あの欄は何のためにあるのでしょう。厚生労働省が公表するガイドラインは、医療機関が身元保証や身元引受に求める機能を次のように整理しています。

保証人がいないと入院できない、は誤り。病院が本当に求めているもの

見落としやすいのが、ここに医療行為の同意が入っていないことです。同じガイドラインは、同意は本人の一身専属性がきわめて強く、身元保証人などの第三者に権限はないものと考えられる、としています。求められるのは同意の代行ではなく、連絡と費用と退院後の段取りです。

頼める人がいないときに動かす順番

まず、手続きが始まる前に事情を病院の相談窓口へ伝えます。このガイドラインは、身寄りがない人に加えて、家族に連絡がつかない人や支援が得られない人も対象に想定しています。黙っているより、院内で使える手が動きます。

次はお金です。保険適用される診療について、窓口で支払う医療費が上限額を超えたとき、超えた額を支給する高額療養費制度があります。超える分を窓口で立て替えずに済ませるには、マイナ保険証を使うか、事前に限度額適用認定証を用意します。交付の手続きは、加入先の健康保険組合、協会けんぽ、市町村(国民健康保険と後期高齢者医療)などが窓口です。ただし、入院時の食費負担や差額ベッド代、先進医療にかかる費用などは高額療養費の対象外です。生活費に困るなら、自治体の生活困窮者や生活保護の相談窓口も使えます。

有料の終身サポートを考えるなら、契約の前に見る点があります。令和6年6月に関係府省庁がまとめた高齢者等終身サポート事業者ガイドラインは、重要事項説明書を作成・交付して丁寧に説明すること、契約書を作成して交付すること、入会金や預託金などを区分して示すこと、預託金を事業者自身の運転資金等と分けて管理し定期的に報告することを挙げています。解約の手順や返金の扱いも、重要事項説明書に載せるべき事項として挙がっています。

断られる心配より、先に伝えておきたいことがある

身元保証人がいないことだけを理由に、入院を断ることはできません。それでも連絡先や費用、退院後の段取りは誰かが担う必要があります。頼める人がいないなら、その事情こそ早めに病院へ伝えたい情報です。元気なうちに緊急連絡先と保険の資格、預金の管理方法を書き出しておくと、いざというときの説明が短く済みます。

情報提供元: マネーの達人
記事名:「 保証人がいないと入院できない、は誤り。病院が本当に求めているもの