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生活保護制度は、生活に困窮する方に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長することを目的としています。
生活保護の対象になる方は、様々な理由で制度を利用することになりますが、生活保護を受けたとしても滞納している税金が免除されるわけではありません。
本記事では、税金滞納者が生活保護を受けた場合の扱いについて解説します。
日本に生活保護制度が存在するのは、日本国憲法25条の規定があるからです。
日本国憲法25条では、すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有しており、国はすべての生活面において、社会福祉や社会保障、公衆衛生の向上および増進に努めなければならないとしています。
そのため、資産や能力等すべてを活用してもなお生活に困窮する方に対し、国は困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障することで、自立の力添えをしています。
生活保護制度を利用している場合でも、滞納している税金の支払いは免除されません。
収入を得られるようになれば、収入の一部を滞納している税金に充てなければなりませんし、滞納が続けば財産が差し押さえられる可能性もあります。
税務署は、納税者が所得税などの国税を滞納している場合、納税者が所有する財産の差押え等の滞納処分を実施します。
しかし、国税徴収法153条(滞納処分の停止の要件等)では、滞納処分の執行等をすることによってその生活を著しく窮迫させるおそれがあるときは、滞納処分の執行を停止することができるとしています。
「生活を著しく窮迫させるおそれがあるとき」は、滞納処分をすることにより、滞納者が生活保護法の適用を受けなければ生活を維持できない程度の状態になるおそれのある場合です。
滞納処分の停止は滞納者の申請ではなく、税務署長の職権で行われ、処分が停止する際は滞納者に停止した旨が通知されます。
すでに生活保護を受けている人が支給を受けているお金を差し押さえられてしまうと、生活が維持できなくなりますので、生活保護を受けている期間は滞納処分の執行は停止されます。
所得税などの国税を滞納し、生活保護を受けたことで滞納処分が停止した場合、その停止が3年間継続したときは、滞納している税金の納税義務は消滅します。(国税徴収法153条4項)
生活保護を受けたとしても、3年以内に保護対象外となったときは、納税義務は継続するので気を付けてください。
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