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健康保険証は2024年12月2日で廃止となり、マイナ保険証(健康保険証の利用登録を済ませたマイナンバーカード)に原則一本化されます。
ただ廃止日から最長1年の経過措置期間が終わるまでは、引き続き健康保険証を使えるのです。
またマイナ保険証を使えない方には、健康保険証と同じように使える資格確認書が、遅くても経過措置期間が終わるまでに送付されます。
そのためマイナ保険証を使わなくても良いのですが、政府はマイナ保険証のメリットばかりを強調するため、使わないと不利になりそうな感じがします。
しかし現時点で最大のメリットと推測するものは、次のようにマイナ保険証を使わなくても享受できるため、当面はあまり不利にならないと思うのです。
公的医療保険に加入する方が、保険診療を受けた時の医療費の自己負担は原則的に、70歳未満の方は2~3割、70歳以上の方は1~3割です。
例えば3割負担の方が入院して手術などに100万円かかった場合、入院時の食事代や差額ベッド代などを除いた自己負担は、30万円(100万円の3割)になります。
ただ高額療養費という制度があるため、1か月(1日から月末まで)の自己負担が所定の自己負担限度額を超えた場合、その超えた部分が申請で還付されるのです。
この自己負担限度額は収入が少ないほど金額が低く、70歳以上の一般所得者や低所得者には外来だけの自己負担限度額があるため、入院しなくても役に立ちます。
例えば70歳未満で年収370~770万円くらいの方が入院して、手術などに100万円かかった場合、次のように自己負担限度額は8万7,430円です。
・8万100円+(手術などにかかった100万円-26万7,000円)×1%=8万7,430円
そのため30万円(100万円の3割)から、自己負担限度額の8万7,430円を差し引いて算出した21万2,570円が、高額療養費として還付されるのです。
ただ入院する前に申請して限度額適用認定証の交付を受けた方は、自己負担限度額の8万7,430円を医療機関に支払えば良いので、後日に還付を受ける必要はありません。
マイナ保険証を使った時のメリットとしては、転職の際などに健康保険の受け渡しが不要になることの他に、次のような5つがあると思います。
医療機関にある顔認証付きカードリーダーに、マイナ保険証をセットしてから情報提供に同意すると、過去に処方された薬の情報が医師や薬剤師に伝わります。
これにより医師や薬剤師は、他の医療機関で処方された薬の情報も把握できるため、重複投与や飲み合わせの悪い薬を避けられるのです。
ただ医師や薬剤師に伝わる情報は、1か月分をまとめて請求するレセプトを元にしているため、約1か月前までの古い情報しか伝わらないのです。
そのため直近の情報を医師や薬剤師に間違いなく伝えるには、お薬手帳が今後も必要になると思います。
なお電子処方箋を導入している医療機関だと、医師や薬剤師に直近の情報も伝わりますが、2024年10月時点の導入状況は次のようになるため、十分に普及していません。
・病院:2.3%
・医科診療所:6.1%
・歯科診療所:0.5%
・薬局:52.3%
マイナ保険証を使ってマイナポータルにログインすると、受診した医療機関の名称や支払った医療費の金額などが記載された、医療費通知情報を確認できます。
またe-Taxとマイナポータルを連携させると、e-Taxで確定申告する時に医療費通知情報の中に記載された情報が自動入力されます。
そのため確定申告で医療費控除を受けるのが簡単になるだけでなく、領収書の保管が不要になるというメリットが生じるのです。
医療費の負担を軽減する高額療養費を利用する際は、事後または事前に申請する場合が多いため、手続きの時間や手間が増えるのです。
マイナ保険証を使った時のメリットとしては、事前に申請して限度額適用認定証の交付を受けなくても、医療費の支払いは自己負担限度額までになる点です。
患者の体調が悪かったり、意識がなかったりして、救急搬送時に処方されている薬や受診歴などを、救急隊員に説明できない場合があります。
こういった時に患者や家族の同意のうえでマイナ保険証を読み取ると、処方されている薬や受診歴などを救急隊員が把握できるため、救急活動が円滑化・迅速化します。
2024年度に始まった実証事業になるため、メリットを享受できる機会は少ないのですが、2025年度には全国展開する予定のため、状況が変わるかもしれません。
医療機関ごとの診察券、公費負担医療(難病など)や各自治体が実施する医療費助成(子ども医療費など)の受給者証などが、マイナ保険証と一体化するのです。
これによりマイナ保険証だけで受付ができますが、まだ始まったばかりになるため、全国各地でメリットを享受できるのは先の話になりそうです。
(1)から(5)の中には十分に普及していない制度や、始まったばかりの制度が含まれています。
こういった制度のメリットを享受するのは難しいのですが、(2)の医療費控除と(3)の高額療養費は現時点でも、全国各地でメリットを享受できる場合が多いのです。
ただ(2)はe-Taxやマイナポータルを使いこなせる、知識やスキルが必要になるので、万人がメリットを享受できるわけではないのです。
そのためマイナ保険証を使った時の最大のメリットは、現時点では(3)と推測します。
(3)のメリットを享受するには、顔認証付きカードリーダーが限度額情報を提供するのかを確認してきた時に、「提供する」を選択する必要がありました。
しかし2024年10月7日からは、限度額情報を提供するのかを確認する部分が省かれたので、同意の意思表示がなくても医療費の支払いは自己負担限度額までになります。
医療機関にある顔認証付きカードリーダーで受付する時は、これにマイナ保険証をセットした後に、顔認証か暗証番号の入力を実施します。
いずれかで本人確認が完了すると医療機関は、加入する公的医療保険の種類や、自己負担の割合などがわかる患者の資格情報を、オンラインで取得するのです。
こういったオンライン資格確認に対応している医療機関なら、健康保険証や資格確認書を使った時も申請なしで、医療費の支払いを自己負担限度額までにできます。
その方法としては医療機関の職員に口頭で、限度額情報の提供に同意すると伝えるだけです。
2024年10月7日からは上記のように、限度額情報を提供するのかを確認する部分が省かれたので、マイナ保険証を使った時は同意の意思表示が不要になりました。
しかし口頭での同意も不要になったという情報は見かけないので、引き続き医療機関の職員に対して、限度額情報の提供に同意すると口頭で伝えた方が良いと思います。
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