ボーナスと年金を含む社会保険の関係とは?
冬が近づくとボーナスの話題が増えてきます。
年金制度上もボーナスは将来の年金額に紐付くものであり、ボーナスを支払った後は賞与支払い届の提出がされ、年金額への反映が行われます。今回はボーナス(賞与とも表現されることもある)と年金の関係性について解説します。
ボーナスと年金
2003年3月31日まではボーナスは年金額に反映がありませんでした。しかし、2003年4月1日以降はボーナスが年金額へ反映されることとなっています。
では、どのように反映されるかと言うと、冒頭で記した賞与支払届によって、個々の被保険者に対して、いつ、いくらのボーナスが支払われたのかが届出書類によって反映されることとなります。
当然、扶養の範囲内で働くパートなどで、社会保険未加入者の場合は、例えボーナスが支払われたとしても、年金額への反映はありません。
ボーナスと社会保険料
当然、社会保険加入者に対して賞与が支払われた場合は社会保険料も発生します。
賞与の社会保険料は月々の給与で控除される社会保険料の料率と同率ではありますが、厚生年金保険料については1回に支払われる賞与の額が150万円を超える場合は150万円が上限とみなされ、当該額に対して保険料率を乗じて保険料額が決定されます。次に、健康保険料については、1年度につき支払われる賞与の額に対して累計額として573万円が保険料の対象となる賞与の額とされています。
育児休業中に支払われる賞与の場合は?
法改正によって1か月を超えて育児休業を取得している場合に限って、賞与の社会保険料は発生しません。
当てはまるケースとしては、育児休業に入る前の貢献度や出勤率等を勘案し、育児休業に入った後に賞与が支払われるといったケースが考えられます。なお産前産後休業中に賞与が支払われる場合には、1か月を超えるといったような期間的な要件はありません。
介護休業中に支払われる賞与の場合は?
介護休業は最大3分割の中で93日の休業を取得できますが、育児休業とは異なり介護休業には社会保険料の免除制度がありません。
退職月に賞与が支払われる場合は?
端的には、月途中で退職した場合には、その月は被保険者ではないため、支払われた賞与については保険料の徴収がありません。
また支払い日が退職日より前の場合は賞与支払い届の対象者には含まれますが、被保険者の計算の基礎には含まれないため、(保険料も引かれていないため)将来の年金額にも反映されないと言うことになります。
社会保険未加入者に賞与が支払われる場合は?
当然、健康保険料や厚生年金保険料は控除されません(老齢厚生年金も増額しない)が雇用保険に加入している場合は雇用保険料の控除があります。
雇用保険は標準報酬という概念がなく、雇用保険被保険者が実際に賃金の支給を受けた場合は、当該賃金に雇用保険料率を乗じて保険料が徴収される仕組みです。また、所得税については、税区分が甲であっても金額によっては所得税の控除もあります。
給与と賞与の相違点とは?
給与の場合、例えば基本給は最低賃金を下回っていないか等、最低賃金法の遵守が求められますが、賞与については最低賃金法の適用はないだけでなく、法律上の支払い義務もありません。
もちろん〇月と〇月に賞与を〇〇円支給すると確約した契約であれば話は別ですが、企業の業績等によっては賞与がないといったケースも少なくありません。
社会保険加入者の場合は総支給額=手取額とはならない
賞与は単純にもらえるだけでなく、そこから控除される保険料や、社会保険加入者であれば将来の年金額にも繋がっていくという重要な仕組みがあります。
コロナ禍が明けた以降は賞与の支給が復活したという企業もあり、社会保険加入者の場合は総支給額=手取額とはならない点をおさえておく必要があります。