その作り置きは危険かも【食中毒】高齢者の予防3原則と具体的な7つの声かけとは? 

暑さが薄れてきたこの季節、高齢者に気をつけてほしいのは食中毒です。

高齢者は、総菜の買い置きや家族に作ってもらった作り置きを召し上がる方もいます。

そしてそのおかずを、つい昔の感覚で食卓の上に置きっぱなしにしてしまうことがあります。

また、食材が古くなっても、火を通せば大丈夫と召し上がる方もいます。

高齢者の食生活は、食中毒になる可能性が高いと言えます。

今回は、食材や作り置きなどが無駄にならずに済む、食中毒の予防方法などをご紹介します。

調理や衛生面の「常識」をアップデートしないと食中毒になりやすい

高齢者にとっての「食中毒」とは?

食中毒の予防方法を知って実践する為には、まず食中毒について知ることが大切です。

食中毒には細菌性食中毒とウイルス性食中毒の2種類があります。

どちらもその原因となる細菌やウイルスが、食べ物にくっついて体内に入ることで引き起こされます。

原因となる細菌やウイルスによって、症状が出てくるまでの時間が異なるため、すぐに食中毒かもしれないと気付くことができない可能性もあります。

食中毒かもしれないとすぐに気づけない可能性も

ウイルス性の食中毒

ウイルス性の食中毒は、細菌性の食中毒と違ってくっついた食品中で増えません。

しかし、ごく少量の汚染によって食中毒を引き起こします

ウイルス性の食中毒で有名なのは、ノロウイルスによる食中毒です。

原因となるウイルスによる汚染を防ぐためには、

  1. 食品にウイルスをつけない

  2. キッチンにウイルスを持ち込まない

  3. 食品や調理器具にウイルスをひろげない

  4. ウイルスを加熱してやっつける

の4つが、食中毒予防の4原則になります。

ウイルス性の食中毒の予防策も、家庭内でお金をかけずに行うことができます。

腸管出血性大腸菌 

有名なのはO157として知られている原因菌です。体内に入ると大腸でベロ毒素を作り出し、下痢や腹痛、発熱や嘔吐、血便などを引き起こします。

原因食品とされている物には、ハンバーグや白菜漬けなどさまざまな食品があります。

発症までの時間が平均4~8日と長く、原因食品が多様であることや初期症状が水様便と微熱ということから、食中毒と分かりにくい時があります。

O157は、重症化すると溶血性尿毒症や脳症を併発してしまう可能性があります。

高齢者は抵抗力が弱く、症状も重くなりがちです。重症化防止には、早めに病院受診をする必要があります。

胃腸炎のような症状が出た際には、病院受診に備え、火のとおりが甘かった肉などを食べていないか等、心当たりがないか思い返しましょう。

高齢者は、体力もないため、水分も取れない状態になると脱水になってしまいます

胃腸炎のような症状が出た際に、食中毒になるような心当たりがある場合では、水分や食事がとれているかなど体調の変化に注意しながら、早めの病院受診をしてください。

参照:消費者庁 細菌・ウイルスによる食中毒

細菌性の食中毒を防ぐ方法とは

  1. 細菌性の食中毒は細菌を食べ物につけない

  2. ついた細菌を増やさない

  3. 食べ物や調理器具についた細菌をやっつける

といった3原則で予防できます。

食中毒予防の3原則(画像提供元:農林水産省)

それぞれ具体的な方法としては、

  • つけない…正しい手洗いや食器やタッパーをきれいに洗う

  • 増やさない…冷凍した肉や魚などは、時間がかかる自然解凍ではなく、レンジや流水を用いた短時間で解凍を行う

  • やっつける…食材は、中心までしっかりと火を通す

等があげられます。

予防の3原則は、特別な道具を使うことなく無料で、日常生活上で今までよりも少し注意するだけでできます。

高齢者は、今までの調理の経験から中心部の火の通し具合を確認していなかったり、昔とは違う暑さのキッチンで、冷凍した肉や魚を自然解凍したり、食中毒を起こしやすい状況で、調理している場合が多いものです。

手洗いや食器なども移動や長時間の立位がしんどい等の理由で、きちんとできていないこともあります。

食中毒を起こさない為に気をつけるポイントは、多々あります。

しかし、一度に多くのことを伝えても、高齢者がすべて実施できるとは限りません。

食中毒にかかると高齢者は重症化しやすいので、食中毒予防のポイント、つけない・増やさない・やっつけるという3原則に沿った、具体的でその方にあった予防方法を伝えるようにしましょう。

調理器具の洗浄や収納などの工夫で、衛生面をサポートするのが大事

食材や作り置きを無駄にしない食中毒予防

高齢者が食品や調理器具などの衛生管理や火の通し具合など、食中毒に対してきちんとした対策ができているか不安な点があります。

高齢者に伝える時は、ここだけは守るようにという具体的なポイントを伝えましょう。

  1. 購入した食品の賞味期限を確認し、要冷蔵の品や冷凍食品は、持ち帰りの温度に注意してすぐに帰宅する。

  2. 持ち帰った食品は、室内に放置せず、冷凍庫や冷蔵庫にすぐに入れる。

  3. 調理器具やふきんなど、いつも清潔にしておく。

  4. 包丁やまな板は、生の肉や魚を切った後に、生で食べる野菜などを切らないようにする。

  5. 食品の加熱は中心まで、しっかり行う。

  6. 手洗いを十分に行う。

  7. 一度に食べきれないほど、大量に作り置きをすることはやめる。

以上の7点が、家庭でできる食材や作り置きを無駄にしない食中毒予防のポイントです。

買ってきた食材を適切な方法で保存しなければ、傷み、使えなくなります。

作り置きも便利だからと言って、傷む可能性が高くなるほどの日数分作っておくのも、無駄になる原因となります。

食材を無駄にしない工夫は、食中毒を防ぐことにつながっています。

食材を無駄にしない工夫は、食中毒を防ぐことにつながる(画像提供元:厚生労働省)

まずは作り置きの量の調整などから取り組んでみよう

食中毒は、毎年注意喚起が出されたり、集団発生がテレビで報じられたりと身近に感じられる問題です。

また食中毒は、食事という生きていく上で欠かせない活動と密接な関係があります。

そして、高齢者が食中毒にかかってしまうと重症化しやすい点も、食中毒予防を真剣に行わなければならない理由のひとつです。

高齢者の体力や抵抗力は、年を取るごとに衰えていきます。年々、平均気温が高くなり、暑い時期が延びています。

今までは、調理方法や食品の保存で何も問題がおきなかったから、これからも今までと変わらないやり方で良いと考えることは危険です。

食中毒予防へのとりかかりとして、まずは、値上げが相次いでいる食品のロスも防ぐという点から、食材や料理の保存方法の見直し、作り置きの量の調整などから取り組んでみてはいかがでしょうか。

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情報提供元: マネーの達人
記事名:「 その作り置きは危険かも【食中毒】高齢者の予防3原則と具体的な7つの声かけとは?