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長期修繕計画(以後、長計)がない分譲マンションは購入してはいけません。
なぜでしょうか。
例えば、同じような (1) マンションと (2) マンションがあると仮定します(広さ80平方メートル)。
(1) 修繕積立金が@100円 8,000円
(2) 修繕積立金が@150円 1万2,000円
単純に (1) 8,000円、(2) 1万2,000円ならば、(1) のマンションを選ぶかもしれません。
住宅ローンを利用して分譲マンションを購入した場合、月々の返済は、住宅ローン+管理費+修繕積立金です。
毎月の支払は少ないに越したことはありません。
次に追加情報を知ったとき、あなたは素直に (1) を選ぶことができるでしょうか。
(1) 長期修繕計画書なし
(2) 長期修繕計画書に基づき、25年から@175円 1万4,000円。
30年から@200円 1万6,000円
分譲マンションの管理ついてご存じであれば、無条件で (1) を選ぶことはないと思います。
(1) のマンションは長計がないので、後に相当な値上がりするかもしれないなど、不安があるからです。
この不安は、単純な値上がりだけではありません。他の要素も絡んできます。
今回は、長計がないマンションの問題点について、お知らせいたします。
長期修繕計画とは、「将来予想される修繕工事等を計画し、必要な費用を算出し、月々の修繕積立金を設定するために作成するもの」です。
マンションの快適な居住環境を確保し、資産価値の維持向上を図るためには、建物等の経年劣化に対して適時適切な修繕工事等を行うことが重要です。
令和5年度マンション総合調査結果では、調査対象の管理組合のうち、88.4%が長計ありと返答がありました。
長計がないマンションが、1割存在します。
長計が総会で可決されていないということは、もちろん理事会で審議されていないことになります。
このような組合は、修繕に関する意識、組合活動に関する意識も低いと思われます。
これは修繕積立金算出の根拠である長計がないので、往々にして修繕積立金が積みあがっていない可能性があります。
突発的な修繕はされているとしても、場当たり的な修繕では非効率です。
建物や設備の状態が保たれているは考えにくいです。
築年数が20年以上経過しているのに、新築当初の長計で一度も更新されていないマンションも散見します。
物価は上昇しますし、インターホン配線など進歩が著しい設備もあります。
これらを加味していない長計は、現在の社会生活を反映しているといえません。
設備の改良など長計を更新すると、修繕積立金が不足している可能性が高いです。
修繕積立金を行うのに必要な資金が貯まっていない、資金難で改修工事(大規模修繕工事)などができないマンションは、資産価値が低いとみなされます。
これは売却時に不利になります。修繕積立金が足りないとなれば、組合員からの徴収となります。
毎月支払う修繕積立金が値上がりする、一時金を徴収されるなどが考えられます。
これは通常総会の特別決議で決議されますが、採決されれば否定できない。
採決された決議に違反して支払いを拒めば、最悪法的手段で回収となります。
分譲マンションを購入する際に、不動産会社を利用される方が多いと思います。
不動産会社は、購入するマンションに長計があるかどうかは教えてくれますが、長計の内容は解説してくれません。
利息のある世界は、物価上昇による諸費用の値上げは避けられません。しかし突然の負担増は家計破綻を招く恐れもあります。
専有部分や立地などが同じマンションでも、組合が修繕積立金の積み立てられているかで、マンションの価値は変わります。
その指標となる長計がないマンションは、そもそも価値が低いとされても致し方ないと思います。
マイホームは一生の買い物です。購入を検討されているマンションについては、マンションに強いFPや、マンション管理士などの専門家にお尋ねください。
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