- 週間ランキング
65歳よりも早く受給できる繰り上げ請求という選択肢があります。
労働法制上、定年年齢の下限は原則的な職種の場合は60歳であり、65歳までの継続雇用制度等があるとしても、定年前と同じ給与額が保障されるわけではないため、本来よりも早く年金を受給したいと言うニーズが一定程度存在します。
年金を早く受給し始めた場合の注意点について、影響が大きな論点をピックアップし、解説します。
繰り上げ請求とは繰り下げ請求の反対で65歳よりも早く年金をもらうと言うことです。
請求は繰り下げ請求よりもより制度上、注意すべき点が多くあります。
早く年金をもらい始めることとなるため、一定の減額率が適用されます。
法改正によって1か月あたり0.4%の減額があり、また、これは一生涯適用されます。
請求をすると言う事は、年金制度上の年齢は65歳になることとなります。
任意加入制度とは保険料の納付月数が480か月に満たない場合、満額の老齢基礎年金を支給できないこととなります。
そのため、65歳までの間に限り480か月に満たない部分を任意に加入して保険料を納付することができる制度です。
私的な疾病や負傷が原因となり、障害を背負った場合は、障害年金を受給できる可能性があります。
もちろん、障害年金は、保険料納付要件や初診日要件等、一定の障害を負っていたとしても、他に満たさなければならない要件は複数あります。今回、繰り上げ請求をすることによって、障害年金の1つの請求方法である事後重症による請求ができなくなることとなります。
事後重症請求とは、端的には、疾病や負傷がより悪化したために障害年金の請求をすることですが、事後重症請求は65歳以降は、請求することができなくなります。前述の通り、繰り上げ請求をすると、年金制度上の年齢は65歳と考えられるため、事後重症請求については選択できなくなると言うことです。
よって、繰り上げ請求する場合には、障害年金の請求可能性がないのかは、要確認事項となります。
仮に遺族年金の請求権を得たとしても、繰り上げ請求をしてしまうと1人1年金の原則と言って、年金はどちらか1つ選択して受給しなければなりません。仮に遺族年金を選んだとしても、一度繰り上げ請求した場合は、老齢年金の減額は取り消すことはできません。
繰り上げ制度は片方だけ繰り上げ請求すると言う事はできません。繰り上げ請求する場合には、国民年金と厚生年金も同時に両方繰り上げ請求しなければなりません。
これまで免除制度などによって、保険料の免除を受けていた場合であっても、追納することによって、年金を満額支給につなげることが可能です。
しかし、繰り上げ請求をしてしまうと、年金制度上は65歳とみなされるため、追納すると言う選択肢が取れなくなります。
厚生年金も一緒に繰り上げ請求することとなり、仮に給与改定等によって在職老齢年金の対象となり、年金が支給停止されたとします。
支給停止された分は、将来戻ってくると言うこともなく、また減額率も取り消される事はありませんので、減額を受け入れたにもかかわらず、在職老齢年金制度によって年金もカットされてしまうと言う二重のデメリットを受けることも想定されます。
繰り上げ請求をすると、老齢基礎年金だけでなく付加年金も減額対象となります。
繰り下げの場合は、いずれか一方のみの繰り下げと言う選択も可能です。
繰り上げ請求は請求する際には、自身にどのような影響があるかを慎重に確認して決断していくことは大切なことです。
住民税の支払いはいつ?納付時期、納付方法、滞納した場合のペナルティを解説
令和6年度税制改正における「住宅ローン控除」の変更点とポイントを解説