賃上げ率33年ぶり高水準、KSI調査で明らかに
紀尾井町戦略研究所株式会社は、全国の18歳以上の男女1,000人を対象に、賃上げや収入増に関するオンライン調査を実施しました。調査日は2024年7月7日で、賃上げ率が33年ぶりに高水準となったことが明らかになりました。
連合が7月3日に発表した今年の春闘の最終集計結果によると、賃上げ率は5%を超え、1991年以来の高水準を記録しました。
KSIの調査結果によれば、今年に入って月給など給与の賃上げがあったか、もしくはある予定の人は30.9%で、3月6日の調査の18.5%に比べ12.4ポイント増加しました。一方、賃上げがなかったか賃金が減った人は計32.0%(前回38.2%)でした。
賃上げがあったか、ある予定の人を会社の規模別に見ると、規模が大きくなるほど増える傾向がはっきりと出ており、最多は従業員1000人以上で6割台となりました。
年収別でも、年収が上がるほど増える傾向が顕著で、2000万円以上の層で7割に達しました。
賞与(ボーナス)や手当といった、月給などの給与以外の収入が今年に入り変わらなかった人は32.9%、増えたかもしくは増える予定の人が17.6%、減ったかもしくは減る予定が9.2%となりました。
6月から始まった定額減税について、「あまり」を含め恩恵を感じなかった人は54.1%でした。
給与明細で定額減税額を確認した人は47.2%、確認していない人は23.7%でした。
現在の収入への不満を複数回答で聞くと、「インフレや物価上昇に対応できない」が39.1%でトップ、次いで「生活や家族を養うには足りない」25.0%、「定期的な賃上げやボーナスがない」18.8%の順となりました。
また、1ドル=160円台の約38年ぶりの円安水準は自身にとってデメリットの方が大きいと感じる人が59.2%に上りました。
政府が猛暑対策として8月から10月に行う電気、ガス代の補助の金額(標準世帯で月2125円)は「不十分だ」とした人が57.9%に上り、期間についても11月以降も補助するべきだとした人が49.4%を占めました。
新NISAなどへの金融資産への投資を「していない」が58.6%に上り、投資をしているとした人については、公務員が6割台で最高となり、次いで会社役員・団体役員の5割台となりました。
5年後の自身の収入について「変わらないと思う」が36.8%、「減るかなくなると思う」が27.1%、「増えると思う」は13.8%でした。「物価と賃金の好循環」が「あまり続かないと思う」「続かないと思う」は計55.2%、「ある程度続くと思う」「続くと思う」は計30.0%でした。
次期首相にふさわしいと思う国会議員の上位は石破茂氏14.3%、高市早苗氏7.1%、岸田文雄氏5.1%、菅義偉氏5.1%、小泉進次郎氏4.8%の順でした。自民党支持層に限って見ると、岸田氏21.8%、高市氏17.8%、石破氏16.1%でした。
KSIの調査結果は、賃上げや収入増の実感に地域差や職業別の違いがあることを示しており、今後の政策立案に重要なデータとなるでしょう。