【筆者体験談】地域包括支援センターの役割や介護保険で利用できる介護サービス、地域包括センターへの相談にあたって留意すべき点を解説

親が高齢になるほど心身の衰えが目立ってきます。

心配になった私が介護経験者の友人に介護について相談したところ、「介護が始まる前に地域包括支援センターに相談した方がいい」と言われました。

地域包括支援センターに相談したらその場で介護保険の申請を勧められ、介護保険で利用できる介護・介護支援の各種サービスについての説明も受けました。

この記事ではその経験をもとに、地域包括支援センターの役割や介護保険で受けられる介護サービス、注意点について解説します。

地域包括支援センターの役割や介護保険で受けられる介護サービス、注意点について

地域包括支援センターの役割

まず、地域包括支援センターで受けられる介護サポートを紹介します。

サポート (1) 介護や介護予防の悩み相談

保険、福祉、医療など、介護や介護予防についての総合的な相談を受け付けています。

サポート (2) 自立して生活できるような支援

要支援認定を受けた方や介護予防が必要な方が自分で生活できるような支援を行います。

サポート (3) 高齢者の権利を守るための相談・支援

成年後見制度の紹介、虐待の早期発見と防止、消費者被害の防止などにも対応します。

サポート (4) 高齢者が住みやすい地域づくり

地域のケアマネジャーが指導・支援を行うほか、さまざまな機関と連携して高齢者をサポートします。

参照:静岡市 地域包括支援センター(日常生活圏域)

介護保険で利用できる介護・介護予防サービス

地域包括支援センターでは、介護保険で利用できる介護・介護予防サービスの説明を受けました。

<主な介護・介護予防サービス>

ケアプランの作成

訪問介護

通所介護(デイサービス)

訪問看護

訪問/通所リハビリテーション

ショートステイ

老人ホーム(有料・特養)

介護予防、生活支援サービス

福祉用具の貸与

住宅改修費用の助成 など

ケアプランの作成費用は現時点では無料ですが、今後どうなるかはわからないそうです。(職員談)

それ以外は実費の1~3割が自己負担となり、介護や介護予防にかかる経済的な負担が軽減されます

ただ、費用については見落としがちな点があります。

日常の生活費、食費、宿泊費(家賃相当額)、居住費(滞在費)、通所にかかる交通費は全額自己負担となります。

そのことを知らない人は意外と多いのではないでしょうか。私も地域包括支援センターに行くまで知りませんでした。

ただ、交通費は医療費控除の対象になります

また、一部自治体では交通費の助成を行っていますので、お住まいの市区町村などにご確認ください。

参照:国税庁 質疑応答(通所介護及び短期入所生活介護における交通費)問18

地域包括支援センターへの相談から要介護認定までの流れ

地域包括支援センターへの相談から要介護認定までの流れ

ここからは、私が実際に経験した「地域包括支援センターへの相談から介護保険申請までの流れ」を紹介します。

申請までの流れ1:親の住所を管轄する地域包括支援センターに電話で予約

まず、私は親の住所を管轄する地域包括支援センターに電話で相談の予約を行いました。

その際に、「介護保険証(※)を持参してください」と言われましたが、親が「ない」と言ったので、相談の際に再発行の手続きを行うことになりました。

介護保険証(介護保険被保険者証)

介護保険の申請や公的介護サービスの利用に必要な書類で、65歳になると市町村から届きます

申請までの流れ2:予約した日時に地域包括支援センターに行く

予約した日時に地域包括支援センターに行きます。

介護保険証が家になければ手ぶらでもOKですが、高齢者本人が出向くと相談や手続きがスムーズに進みます

<相談から介護保険申請までの流れ>

(1) 介護保険について職員から説明を受ける

職員から介護保険についての説明を受けます。

その際にはこちらの質問にも答えてもらえます。

(2) 職員による相談者への質問

職員が相談者(高齢者本人や家族など)に現在の様子を細かく質問します。

(3) 介護保険申請書類等の記入および提出

介護保険や介護保険証の再発行申請手続き等の書類に必要事項を記入します。

<主な記入事項>

・ 住所氏名などの個人情報

・ 病歴や通院歴

・ かかりつけ医の住所氏名

※複数いる場合は一人選びます。

・ 通院中の病院名と住所

・ 現在の体調や生活の状況 など

申請書類は原則として本人が記入しますが、家族が記入することも可能です。

うんざりするほど記入事項が多いのですが、職員がサポートしてくれるのでスムーズに記入できます。

その後、地域包括支援センターが市に介護保険の申請書類を送ります。

申請までの流れ3:かかりつけ医に介護保険の申請を行った旨を伝える

介護保険申請書類の提出後、高齢者自身がかかりつけ医に介護保険の申請を行った旨を伝え、かかりつけ医の診察を受けて「意見書(介護認定に必要な事項を医師が記入する書類)」を書いてもらいます

「意見書」は医師から市に直接送付します。

申請までの流れ4:市の要介護認定調査を受ける

介護保険申請書類が市に届くと市の要介護認定調査員から連絡先の人(本人または家族)に電話が来るので、そこで調査の日時を決めます。

要介護認定調査は高齢者の住所(自宅など)で行い、家族(子どもなど)も立ち会います

調査項目は全国共通の74項目です。

<調査項目>

・ 身体機能・起居動作

・ 生活機能

・ 認知機能

・ 精神・行動障害

・ 社会生活への対応

・ その他過去14日間に受けた特別な医療(点滴の管理や透析など)について

・ 日常生活自立度

この調査では細かいところまでチェックするため、1人あたりの調査時間は1時間弱に及びます。

また、調査に立ち会った家族も質問されるので、日ごろから親の様子を把握しておく必要があります

申請までの流れ5:要介護認定の書類等が郵送される

要介護認定調査から約1か月後、専門家による介護認定会議が終わった後に要介護認定の通知書類(要介護度が記された介護保険証など)が届きます。

要介護・要支援認定を受けた方は、その時点から介護保険の各種サービスを利用できます

要介護認定に時間がかかって通知書類の到着が遅れることがありますが、その時は遅れる旨を伝える文書が市から届きます。

申請までの流れ6:ケアマネジャーとの面談およびケアプランの作成

要介護・要支援の認定を受けると家に来るケアマネジャーと面談します。

わが家はまだこの段階まで来ていないので詳細はよくわかりませんが、地域包括支援センターによれば今後利用する介護サービスなどについてのケアプランを作成するとのことです。

以上の流れを経て介護保険の介護サービスを利用する形となります。

地域包括支援センターへの相談にあたって留意すべき点

最後に、経験者の立場から地域包括支援センターへの相談にあたって留意すべき点をお伝えします。

留意1:介護が必要になる前に相談する

介護保険の介護サービスには利用までに長い時間がかかるものがあります。

例えば、ショートステイや長期滞在型の高齢者施設はすぐに利用できないケースがほとんどです。

したがって、少しでも早く利用するためにも介護が必要になる前から地域包括センターに相談し、可能であれば介護保険の申請も行うことをおすすめします。

留意2:高齢者が地域包括支援センターへの相談を嫌がる場合がある

高齢者が地域包括支援センターに相談することを嫌がる場合があります

私も「まだ早い」と考える親の強い抵抗に遭いました。

そのような場合は、「早期に地域包括支援センターに相談するメリット」を親に説明し、本人が相談に前向きになるタイミングを計る必要があります。

留意3:周囲の無責任なアドバイスで困ったら介護のプロに相談するのが一番

わが家では地域包括支援センターへの相談予約後、親が周囲の無責任な「アドバイス」を受けて動揺したので大変困りました。

<「アドバイス」の内容>

・ 介護が必要になってから地域包括支援センターに行くべき

・ 要介護・要支援認定を受けると本人が望まない有料介護サービスを強制されて断れない

・ 要介護認定を受けると周囲から認知症扱いされる

どれもデマばかりでしたが、私がそう言っても親は納得しませんでした。

そこで地域包括支援センターにもう一度親を連れて行き、職員から「アドバイス」がデマであることを説明してもらったところ、すぐに親が納得しました。

そのことを通して、困った時は介護のプロに相談するのが一番だと実感しています。

親の異変に気づいたら地域包括支援センターに相談しよう

親の様子をよくチェックしていれば早期に異変に気づけますが、対処法がわからないと困ってしまいます。

そのような時に相談すべき先が、介護のアドバイスやサポートを随時受けられる地域包括支援センターです。

高齢の親がまだ元気なうちに親の住所を管轄する地域包括支援センターの連絡先をチェックしておき、何かあったらすぐ相談できるようにしておきましょう。

情報提供元: マネーの達人
記事名:「 【筆者体験談】地域包括支援センターの役割や介護保険で利用できる介護サービス、地域包括センターへの相談にあたって留意すべき点を解説