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夏のボーナスを資産運用に回そうと考えていても、利息が少額の定期預金や元本割れがある投資のどちらにも抵抗がある方は多いでしょう。
金利上昇により利回り上昇「個人向け国債」はどんな商品?購入の判断基準は
そこで第3の選択肢となるのが、定期預金にも投資にもないメリットを持つ「個人向け国債」です。
そこでこの記事では、つい先日個人向け国債を買った筆者の体験談を交えながら、個人向け国債の概要やメリット・デメリット、および購入方法についてお伝えします。
個人向け国債とは、国が個人向けに毎月発行している債券(※)です。
※債券=国や地方自治体、企業などが資金の調達を目的に発行する有価証券
個人向け国債には満期が異なる3種類の商品があります。
≪画像元:財務省≫
「固定5」「固定3」は発行時点の利率が満期まで適用されますが、「変動10」は半年ごとに適用利率が変わります。
ここでは参考として、最新の個人向け国債適用利率(税引前の年率)を記しておきます。
変動10:0.69% (初回利子の適用利率)
固定5 :0.59%
固定3 :0.40%
満期までの期間が長くなるほど適用利率が上がる点は定期預金と似ていますね。
個人向け国債にはメリット・デメリットがあります。
個人向け国債は1万円(少額)から購入できます。
元本割れしないことも個人向け国債の大きなメリットです。
<理由>
・満期時の元本の返金および半年ごとの利子の支払いは国が責任をもって行う
・市場金利が変動しても元本部分は変動しない
また、国債を購入した金融機関や国の財政悪化で元本や利息が戻ってこない心配はほぼないと言って差支えありません。
まず、金融機関が破綻した場合の心配は不要です。
平成15(2017)年1月以降に発行された国債の取引は、購入者が各金融機関に開設した口座(振替口座)に記録されています。
仮に金融機関が破綻しても国債の取引記録は残っているため、元本と利息を維持したまま国債口座を他の金融機関に移すことができます。
一方、国の財政が悪化した場合は元本や利子の支払いが滞る恐れがありますが、現時点ではまだ元本や利子の支払いが可能な状況です。
また、1年経てばいつでも中途換金できるので、国の財政が大きく悪化する兆しが出てから対応しても遅くはないでしょう。
参照:財務省 個人向け国債トップページ
よくある質問 国債
「国債を購入した銀行が破綻した場合、その国債の償還は保証されないのでしょうか」
個人向け国債は、発行後1年が経過すればいつでも1万円から1万円単位で中途換金できます。
また、特定贈与信託の受益者(障がい者など)を含む口座名義人が死亡、または災害救助法の適用対象災害で被害を受けた場合は、発行後1年以内でも中途換金できます。
個人向け国債は適用利率(※)をもとに算出された利息を半年ごとに受け取れます。
定期預金は満期日までは満期利息を受け取れず、中途解約だとごく少額の利息を受け取る形になります。
しかし、国債は満期前でも適用利率に基づく利息が半年ごとに支払われるため、トータルの利息は満期時の定期預金利息より高額になるケースが多いです。
以下のページに満期時・中途換金時の利息シミュレーションがありますので、興味がある方は計算してみてください。
財務省 個人向け国債シミュレーション
市場金利が上昇すれば個人向け国債の適用利率も上がります。
また、変動金利国債は購入時の適用利率が低くても市場金利の上昇に伴い半年単位で適用利率が上がるメリットがあります。
個人向け国債は年率0.05%の最低金利が保証されます。
長期金利(期間1年以上の金融資産の金利)が下落した時の定期預金金利はゼロに近くなりますが、個人向け国債の金利は0.05%より下がりません。
以上のメリットから、個人向け国債は「定期預金よりお得に、投資商品より安全に資金を運用できる金融商品」だと言えます。
参照:財務省 個人向け国債
個人向け国債にはデメリットもあります。
個人向け国債は原則として発行後1年間は中途換金できません。
個人向け国債は最短でも満期が3年後です。
また、適用利率が定期預金金利より少し高い程度なので、短期運用やハイリターンを希望する人には向きません。
個人向け国債を購入する場合、銀行などの金融機関で国債の口座を開設します。
国債の買付に手数料はかかりませんが、金融機関によっては口座の開設や維持などに手数料がかかる場合があります。
購入前には必ず手数料の確認を行いましょう。
意外なデメリットとして、個人向け国債の購入ハードルが高い金融機関があることも挙げたいと思います。
私は3つの金融機関の窓口で個人向け国債を購入したい旨を伝えましたが、いずれの窓口でも個人向け国債のデメリットを延々と聞かされました。
その上で「国債より投資信託がおすすめですよ!」と強く勧められてうんざりしたので窓口での購入を断念。
結局インターネット上で手続きが完了するネット証券会社で「変動10年」を購入しました。
(その体験を現役銀行員の友人に話したところ、個人の意見と断った上で「国債は金融機関にとって大した利益にならないからでしょう」と言われました)
今後金融機関の窓口で私と同様の対応をされる方もいると思われます。
その場合は
・ 強い意志を持って国債を買うと主張し続ける
・ インターネットで国債を購入する
のいずれかで対処することをおすすめします。
参照:財務省 個人向け国債
最後に個人向け国債の購入方法についてお伝えします。
以下のページで取扱金融機関を検索できます。
財務省:個人向け国債「地図から検索」(窓口での購入希望者におすすめ)
「インターネットによる購入が可能な取扱金融機関」(ネットでの購入希望者におすすめ)
購入手続きにあたっては以下のものが必要です。
≪画像元:財務省≫
窓口では職員から直接アドバイスを受けながら手続きできるのが利点ですが、国債以外の商品セールスを避けたい場合はインターネットでの手続きがおすすめです。
参照:財務省 個人向け国債「ご購入方法・取扱金融機関一覧」
個人向け国債にはデメリットもありますが、定期預金よりやや金利がお得で、投資商品より安全な点でメリットが大きい金融商品です。
夏のボーナスをもらったらぜひ個人向け国債での資産運用も検討してみてはいかがでしょうか。