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今年の4月下旬頃にSNS上で「遺族年金廃止」が話題となりました。
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遺族年金の見直しについては議論されていますが、廃止はデマです。
もし、廃止になれば世の中が大混乱になります。
では、そもそも遺族基礎年金と遺族厚生年金はどのような制度でしょうか。
死亡保険の保障金額の算定にも関係する制度ですので、ひととおりでも確認しておきたいところです。
国民年金加入者などが、一定要件を満たし支給対象遺族がいる場合に受給できます。
支給対象遺族は、年金法上の「子」のある配偶者または「子」となっており、「子」がいない場合は遺族基礎年金の支給対象外です。
年金法上の「子」とは、生計を維持していたその人の子で「18歳到達年度末までの子(高校卒業まで)、または1・2級の障害状態にある20歳未満の子であって、かつ婚姻をしていないこと」です。
支給期間も子の18歳到達年度末(高校卒業まで)または1・2級の障害状態にある20歳になるまでです。
老齢基礎年金の満額+子の加算(子1人目・2人目は各々23万4,800円、3人目以降は1人につき7万8,300円、2024年度価額)
支給対象遺族がいるとともに、次の(1)~(3)のいずれかに該当する必要があります。
(1) 国民年金(第1~3号被保険者)の被保険者が死亡した場合。もしくは、被保険者であった人が、国内在住で60歳以上65歳未満で死亡した場合(国民年金保険料の納付要件あり)。
(2) 保険料納付済期間(免除期間・合算対象期間を含む)が25年以上である老齢基礎年金の受給権者が死亡した場合。
(3) 保険料納付済期間(免除期間・合算対象期間を含む)が25年以上ある人が死亡した場合。
厚生年金加入者などが一定要件を満たし支給対象遺族がいる場合に受給できます。
支給対象遺族は、(1)配偶者・子 (2)父母 (3)孫 (4)祖父母となっており、支給順位は (数字) の順番となっています(子、孫は年金法上の「子」)。
先順位の遺族がいる場合は、後順位の遺族は遺族厚生年金を受給することができません。
例えば、配偶者または子がいる場合は、父母は受給できません。
なお、遺族が夫・父母、祖父母の場合、被保険者が死亡した時点で55歳以上で、60歳から支給されます(夫が遺族基礎年金を受給できる場合に限り、60歳前でも受給されます)。
支給期間は、妻の場合、子のない30歳未満の妻の場合のみ5年間の有期給付ですが、それ以外は一生涯受給できます。
子や孫の場合は年金法上の子に該当する期間までです。
それ以外の支給対象遺族は一生涯受給できます。
報酬比例部分の年金額(亡くなった方)×4分の3
なお、被保険者の加入月数が300月に満たない場合は300月として計算する場合もあります。
支給対象遺族がいるとともに、次の (1) ~ (5) のいずれかに該当する必要があります。
(1) 厚生年金保険の被保険者である間に死亡したとき
(2) 厚生年金の被保険者期間に初診日がある病気やけがが原因で初診日から5年以内に死亡したとき
(3)1級・2級の障害厚生(共済)年金を受けとっている方が死亡したとき
(4) 老齢厚生年金の受給権者であった方が死亡したとき
(5) 老齢厚生年金の受給資格を満たした方が死亡したとき
※遺族基礎年金の受給要件を満たしている時は、遺族基礎年金と遺族厚生年金の両方を受給することができます。
遺族厚生年金の制度では、下記の(1)(2)のどちらかの要件を満たすと、年額61万2,000円(2024年度価額)が遺族厚生年金とともに受給できます。
(1) 夫の死亡時、妻の年齢が40歳以上65歳未満で「子」がいない場合。
(2) 妻が40歳に達した時に「子」がいたことで遺族基礎年金を受給していたが、その後「子」が18歳到達年度を過ぎたことで遺族基礎年金の受給権が消滅した時に、妻の年齢が65歳未満である場合。
遺族年金制度でも、国民年金よりも厚生年金の方が内容は充実しています。
ここまでご紹介した制度以外にも細かい制度もあり、公的な死亡保険制度であるとも言えます。
もし、遺族年金を受給しなければならない場合は受給漏れを防ぐために、年金事務所または社会保険労務士などの専門家に確認しておく必要もあります。
なお、遺族年金の受給に対しては、所得税・住民税ともに非課税です。
今後、遺族年金も見直しが行われる可能性がありますが、廃止は極論でしかありません。
今後もいろいろなデマがSNS上で流れるかもしれませんが、その時は慌てることなく事実をしっかりと確認しておきましょう。
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