- 週間ランキング
現在の日本は国民皆年金をとっているため、20歳から60歳までの40年間は、国民年金に加入しなければなりません。
【高額な支払いにおすすめ方法3選】確実にポイントゲットしたい、今月ピンチなど 目的別できちんと選択しよう
この期間を将来的に5年延長して、20歳から65歳までの45年間にするという改正案があります。
もう数年前から議論が進められてきましたが、最近は改正に向けた動きが特になかったので、あまり話題になっていなかったのです。
こういった状況が一変して再び話題になり始めたのは、5年に1度の年金財政検証が2024年中に実施される際に、5年延長した場合の効果を検証することになったからです。
新聞などの報道を見ていると、新たに負担が増える保険料の金額ばかりを取り上げていますが、個人的には次のような抜け道を政府が残すのかが今後の焦点になると思います。
ねんきん定期便などを見るとわかるように、国民年金の被保険者は次のような3つの種別に分かれているのです。
日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満のうち、後述する第2号~第3号被保険者に該当しない方は、国民年金の第1号被保険者になります。
例えば自営業者、フリーランス、厚生年金保険の加入要件を満たさない短時間労働者、20歳以上の学生、失業中の方などが第1号被保険者にあたります。
また第1号被保険者にあたる方は、2024年度額で月1万6,980円となる国民年金の保険料を、納付書や口座振替などで各自が納付する必要があります。
正社員、次のような5つの加入要件を満たす短時間労働者などは、70歳になるまで厚生年金保険の被保険者になります。
・ 週の所定労働時間(契約上の労働時間)が20時間以上である
・ 賃金の月額が8万8,000円(年収だと約106万円)以上である
・ 雇用期間の見込みが2か月を超えている
・ 学生ではない
・ 厚生年金保険の被保険者数が101人(2024年10月からは51人)以上の企業に勤務している
また厚生年金保険の被保険者は次のような一部の方を除いて、国民年金の第2号被保険者になりますが、各自が国民年金の保険料を納付する必要はありません。
・ 公的年金の保険料の納付済期間や免除期間などが原則10年以上あるため、65歳になると国民年金から支給される老齢基礎年金の受給資格を満たす65歳以上の方
その理由として給与から天引きされた厚生年金保険の保険料の一部は、国民年金の保険料に変わるからです。
年収130万円未満などの要件を満たす、第2号被保険者の配偶者(20歳以上60歳未満に限る)のうち、所定の届出を実施した方は、国民年金の第3号被保険者になります。
この第3号被保険者の国民年金の保険料も、厚生年金保険の保険料から賄われているため、各自が納付する必要はありません。
国民年金の加入期間が5年延長した場合、第1号被保険者は101万8,800円(月1万6,980円×12月×5年)の国民年金の保険料を、追加で納付する必要があります。
近年の賃金や物価の上昇により、国民年金の保険料は上昇を続けているため、将来的には更に負担が重くなる可能性がありますが、海外に移住すれば保険料の負担を回避できます。
その理由として第1号被保険者は、日本国内に住所を有することが要件になっているため、海外に移住すると保険料を納付する義務がなくなるからです。
また国民年金の保険料の負担を回避する目的で、60歳以降に海外に移住する方が増えるとは思えないので、政府は海外移住という抜け道を今後も残すと推測されます。
そのため海外に移住することが決まったら、抜け道を利用して保険料の納付を止めるのか、それとも国民年金に任意加入して引き続き保険料を納付するのかを、各自が選択する必要があります。
第1号被保険者の中には収入が低かったり、無職のため収入がなかったりして、国民年金の保険料を納付するのが難しい方がいます。
こういった方が市区町村の窓口、郵送、マイナポータルなどで申請を実施すると、全額免除、一部免除、納付猶予(50歳未満が対象)を受けられる場合があるのです。
いずれを受けられるのかは前年の所得で変わり、例えば50歳以上の方が審査の順番を指定しなかった場合、「全額免除 → 4分の3免除 → 半額免除 → 4分の1免除」の順に審査されます。
また雇用されて給与を受け取っている方が、全額免除を受けられる前年の年収の目安は、次のような金額になります。
・ 単身で生活する方:前年の年収が122万円以下
・ 配偶者などの扶養親族が1人いる方:前年の年収が157万円以下
国民年金の保険料を1月納付すると、1,700円くらい老齢基礎年金が増えますが、全額免除を受けて保険料を納付しなかった場合でも、この半分の850円くらいは増えるのです。
その理由として老齢基礎年金の財源は、2分の1が国庫負担(税金)になっているからです。
納付猶予を受けた期間には国庫負担がないのですが、4分の3免除、半額免除、4分の1免除を受けた期間には同様の国庫負担があります。
こういった抜け道を政府が残し、60歳以降も全額免除などを受けられるようにするのかが、今後の焦点になると思います。
また5年分の国庫負担のための財源を確保する手段も、今後の焦点になると思います。
高所得者に対する国庫負担をなくしたり、国庫負担の割合を減らしたりするという改正案が以前に議論されましたが、消費税などの増税を実施する可能性もあるのです。
第3号被保険者になっている方は60歳になるまで、国民年金の保険料を納付しなくても、納付したという取り扱いになります。
こういった抜け道を政府が残し、60歳以降も第3号被保険者になれるようにするのかが、今後の焦点になると思います。
もし60歳以降は第3号被保険者でなくなり、第1号被保険者として国民年金の保険料を納付するようになった場合、免除という抜け道が使えないのかを調べてみるのです。
ただ免除という抜け道が使えたとしても、希望する免除を受けられない可能性があります。
その理由として免除申請の際は、本人だけでなく世帯主や配偶者の所得も審査の対象になるため、例えば配偶者が正社員の場合には、所得の要件を満たすのが難しくなるからです。
こういった時に加入を検討したいのが、勤務先の社会保険(健康保険、厚生年金保険)になります。
月給から控除される厚生年金保険の保険料は、収入によって大きく変わりますが、例えば賃金の月額が8万8,000円(年収だと約106万円)の場合は月8,052円です。
この金額は国民年金の保険料の半分程度になるため、半額免除と同じくらいの抜け道になります。
しかも厚生年金保険に加入すると、老齢基礎年金の上乗せになる老齢厚生年金だけでなく、障害厚生年金や遺族厚生年金も支給されるため、加入前より保障が厚くなるのです。
【自動車税の支払いまとめ】キャンペーンやポイントがつく支払い方法で少しでもお得に
住民税の支払いはいつ?納付時期、納付方法、滞納した場合のペナルティを解説
年金を貰いながら働くと年金額がカットされる?「在職老齢年金」の現状と今後の見直しの可能性とは