年金を貰いながら働くと年金額がカットされる?「在職老齢年金」の現状と今後の見直しの可能性とは
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厚生労働省は、一定の給与収入と一定の年金額を受給していることで年金額が一部または全額が支給停止になる「在職老齢年金制度」の廃止を含めた、見直しの検討に入ると報道されました。

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いわゆる「年金カット」の在職老齢年金制度が廃止も含めた見直しへ、今後はどうなる?

在職老齢年金とは?

70歳未満の方が会社に勤務し厚生年金保険に加入した場合や、70歳以上の方が厚生年金保険の適用事業所でお勤めの場合、老齢厚生年金の額と給与や賞与の額(総報酬月額相当額)に応じて、年金の一部または全額が支給停止となる制度です。

簡単に言えば、年金額と収入の合計額が50万円を超えると支給停止の対象になる制度ですが、具体的には下記の計算式になりますので、必ず確認しましょう。

<在職老齢年金の計算方法(2024年度)>

  • 総報酬月額+基本月額≦50万円 ⇒ 老齢厚生年金は減額されず全額支給される

  • 総報酬月額+基本月額>50万円 ⇒ 50万円を超過する額の2分の1が減額(支給停止)される

支給停止額(月額)=(総報酬月額相当額+基本月額ー50万円)× 1/2

(※)総報酬月額相当額:その月の標準報酬月額とその月以前1年間の標準賞与額の総額を12で除した額の合計

(※)基本月額:老齢厚生年金額(加給年金・経過的加算額・繰下げ加算額を除く)を12で除した額

在職老齢年金の注意点

70歳以上の方は会社に勤務している場合でも厚生年金被保険者とはなりませんが、在職老齢年金による支給停止は対象となります。

また、在職老齢年金の対象は老齢厚生年金の報酬比例部分のみで、老齢基礎年金と経過的加算は支給停止されません

加給年金は、本体部分の年金が一部でも支給されると、加給年金は全額支給されます。

しかし、本体部分の年金が全額支給停止となる場合は、加給年金額も全額支給停止となります。

そして、繰下げ受給の老齢厚生年金は、支給停止部分の金額については繰下げ受給の増額の対象外になります。

在職老齢年金の注意点と対象となる条件について確認しておこう

在職老齢年金のポイント(対象とならない働き方)

在職老齢年金のポイント(対象とならない働き方)について解説します。

1. 基準額以下で働く

「年金を貰いながら会社で働く=年金がカット」ではありません。

年金額は老齢厚生年金のみが対象となっており、老齢基礎年金(国民年金)は基準額(支給停止調整額)の計算には入れません。

ただし、給与については月給だけでなく賞与額(1年間の賞与を12で割った金額)も基準額に入りますので、基準額(支給停止調整額)ギリギリの状況なのか?かなり余裕がある状況なのか?など試算してみましょう。

なお、在職老齢年金の基準額の50万円は、年度によって変わります

2023年度は48万円でした。

物価の上昇率などにより年金額も上昇すると、この基準額も変更されます。

参照:働きながら年金を受給する方へ(日本年金機構)

2. 厚生年金に加入しない働き方を選ぶ

この在職老齢年金制度は、厚生年金に加入していることが前提です。

したがって、厚生年金に加入しない働き方を選ぶことで、在職老齢年金の対象にはなりません。

具体的には、個人事業主(フリーランス)の場合ですと厚生年金に加入できません。

年金額と収入がいくらであっても、在職老齢年金を気にする必要はありません。

また、会社で働く場合でも年収130万円未満(または年収106万円未満)などの一定の要件を満たすことで、厚生年金の加入とはなりません。

なお、現在は従業員数101人以上の会社に勤務すると106万円が加入基準の年収となりますが、2024年10月からは従業員数51人以上へと変更されます。

2024年10月から厚生年金加入基準が変更され、従業員101人以上→51人以上になる

在職老齢年金が廃止された場合はどうなる?

年金を受給しながら働く時に、年金の支給停止を気にせずに働くことができます。

これは私たちにとってはプラスであると言えます。

しかし、ご存じの通り、少子高齢社会により年金財政は今後も厳しい状況が続くと予想されています。

そのような状況の中で、運営側からすると年金額を増やす政策は避けたいところでしょう。

今後、年金制度の改正において、例えば65歳以降も働く人が増加している、だから年金額を減額するなどの根拠にならないよう気をつけておく必要もあります。

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情報提供元: マネーの達人
記事名:「 年金を貰いながら働くと年金額がカットされる?「在職老齢年金」の現状と今後の見直しの可能性とは